阪神ドラ1・佐藤輝 日本一のタカ開幕投手から驚弾で近大先輩・糸井の居場所は…

目の肥えた鷹党を驚かせる一発を放った佐藤輝

近大〝左翼抗争〟勃発!? 阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(21=近大)が5日のソフトバンク戦に「3番・左翼」で先発出場。4打数2安打1本塁打1打点の活躍を披露し、4―0の勝利に貢献。オープン戦とはいえ、最強軍団・ホークスに見事、土をつけて見せた。

圧巻は初回の先制ソロアーチだ。昨季のパ・最多勝右腕として開幕投手にも内定している石川と対峙し、カウント0―1からの外角直球を逆方向へ素直に流し打ち。一見左飛に見えた打球は、そこから予想外の伸びを見せ、左翼テラス席へ着弾。規格外のパワーを初めて目にした博多の虎党も鷹党も、一斉にどよめき、大きく沸いた。

名刺代わりの一発に、背番号8もこの日は珍しく表情を上気させた。試合後は「いいピッチャーから打ててうれしい。最初はレフトフライかと思ったんですが観客の方が盛り上がっていたので…。パッと見たら入ってました」と笑顔を見せた。

2月の実戦から順調なほどに実績を積み上げてきた佐藤輝。開幕をスタメンとして迎える可能性は極めて高くなってきた。阪神の外野陣は中堅が近本で確定。右翼はここまでチームトップクラスの数字を残している高山が有力。必然的に佐藤輝は左翼で起用されることが濃厚だ。

だが阪神の左翼候補としてもう一人忘れてはならない男がいる。佐藤輝の出身大学・近大の大先輩にもあたる糸井嘉男外野手(39)だ。例年この時期はビジターへの遠征を控え、本拠地・甲子園で自己流調整を続けてきた背番号7だが、今年はその〝ベテラン特権〟を自ら返上。この日のソフトバンク戦では「7番・右翼」で先発出場し、2打数1安打1四球と結果を残した。

昨年末の契約更改では年俸4億円から減額制限オーバーの1億8500万円(推定)でサイン。文字通り剣が峰に立たされた格好のアラフォー超人だけに、巻き返しへの思いは相当なもの。生き残りをかけ「(自分は)先を見据える立場ではない。もう開幕のつもりでやっている」と鼻息も荒い。もちろん、母校の後輩・佐藤輝に対しても一歩も引くつもりはない。

若虎・佐藤輝の荒々しさが勝るか? 老兵・糸井の意地が勝るか? 2人の近大OBの〝左翼抗争〟にも注目したい。

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