告示まで1週間 長崎県議補選諫早市区 各陣営の動きが活発化

19日告示の県議補選諫早市区に立候補を予定している千住、本山、坂口、松永の各氏(右から立候補表明順)=いずれも諫早市内

 19日告示、28日投票の県議補選諫早市区(被選挙数2)の告示まで1週間。立候補を表明している新人4人の構図がほぼ固まり、各陣営の動きが活発化。一方、各15人で並ぶ県議会自民系2会派が、同党公認、推薦の2人と補選後の連携を視野に、水面下での攻防を繰り広げているもようだ。
 同市区(定数4)は昨年5月、県議会の会派「自民・県民会議」に所属する中村和弥氏(60)が政務活動費に絡む問題で辞職。同じく大久保潔重(ゆきしげ)氏(55)は2月、諫早市長選出馬のため辞職。欠員2に伴い、最大会派だった「自民・県民会議」は15人に減り、第2会派の「自民」と並んだ。
 立候補を予定している4人は前諫早市議の坂口慎一氏(41)=自民公認=、元同市議の千住(せんじゅう)良治氏(47)=自民推薦=、共産党県中部地区県政対策委員長の本山敏彦氏(59)=共産公認=、前同市議の松永秀文氏(42)=無所属=。
 2月28日。千住氏の後援会事務所開き。自民党諫早支部長で「自民・県民会議」の県議、八江利春氏(81)は、自民系2議席独占へげきを飛ばした。「自民公認、推薦の2人は同じ諫早の仲間。当選に全力を尽くす」と繰り返し、出席した「自民」の県議をけん制。さらに、「2年後の県議選ではライバル。私も頑張る」と自身の「生涯現役宣言」まで飛び出した。
 その後、坂口氏の後援会事務所に「自民」の複数の県議から激励のため書きが届き始めた。「自民・県民会議」の県議たちも続き、千住氏の事務所も同じ風景が広がる。二人とも「同じ党で一つにまとまるのが好ましい」とした上で、坂口氏は「教えを受けてきた諫早市区の(八江氏ら)先輩たちと同じ行動をとるだろう」、千住氏は「こんな多くのため書きをもらったのは初めて。今は当選が最優先。(所属会派を)考えるまでに至らない」と話す。
 “ため書き合戦”の背景には、県議会の主導権争いが見え隠れする。仮に補選で2人が当選、「自民・県民会議」に入れば、17人の最大会派となり、「自民」が担う議会の主要ポストを手中に収めるという。「自民」の一人は「(会派を)決めるのは本人。このようなことで悩ませたくない」と現時点では静観の構え。
 坂口氏は地元高来町から54年ぶりの県議を目指し、産業振興など訴える。千住氏は4年前の市長選で善戦した知名度を生かし、草の根で支持拡大を急ぐ。松永氏は行動力をアピールし、地元飯盛町での「道の駅」整備推進を強調。自民系の2議席の独占阻止を期す本山氏は党の市議現職2人と協調、コロナ禍の県民支援を説く。
 一方、自民、共産以外の他の政党は様子見。公明は「態度未定」、国民民主は「自主投票」。立憲は擁立を模索しているが、時間的に厳しい状況とみられる。

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