人の動き 回復鈍く 2~3月 長崎県内金融経済概況

 日銀長崎支店は15日、2~3月の県内金融経済概況を発表した。景気の総括判断は「緩やかに持ち直しているが、引き続き新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響がみられている」とし、2カ月連続で据え置いた。人の動きの回復が鈍く、個人消費と観光の下振れが続いていることから景気判断の引き上げを見送った。
 会見した下田尚人支店長は「業種や業態で(業況の)格差が広がっている」と指摘。ワクチン接種や政府の追加経済対策の効果に期待する一方、事業の再編や雇用の調整がどの程度広がっていくか注視すべきだとした。
 個人消費は全体として徐々に持ち直しているが、足踏み感が見られる。このうち、サービス消費は下振れ。飲食店サイト閲覧数は2月中旬ごろから上向きつつあるが、ペースは緩やか。これに対し物の消費は巣ごもり消費や衛生品、家電などを中心に堅調な動き。2月の乗用車新車登録台数は前年を上回った。
 観光は依然として落ち込んだ状態。1月の主要ホテル・旅館宿泊者数は前年同期比69%減、主要観光施設入場者数は同74.9%減でいずれも前年を大きく下回る状況が続いている。全国で感染状況が落ち着き、停止中の政府の観光支援事業「Go To トラベル」が再開するまでは、大きな改善が見込めないという。
 生産は「持ち直している」との判断を維持。電子部品・デバイスは、世界的にスマートフォン販売が好調。自動車生産の回復に伴い、関連部品の生産も増えている。機械・重電(原動機、大中型モーター、冷熱機器)は減少。大手中堅造船は横ばい圏内。
 住宅投資や雇用・所得は弱い動き。公共投資や設備投資は高い水準で推移している。

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