巨人の大型新人・秋広に意外な〝断密〟効果…OBに口出しされずノビノビ成長

5試合ぶりに快音を響かせた巨人・秋広

巨人のドラフト5位ルーキー・秋広優人内野手(18=二松学舎大付)が、開幕一軍スタートに向けてアピールを続けている。春季キャンプ途中から一軍に昇格を果たすと、以降は高卒新人ながら一軍に帯同。オープン戦ではプロの壁にぶち当たりながらも22打数5安打で打率2割2分7厘と奮闘中だ。快進撃の要因の一つとして意外な声が上がっている。

注目の2メートルルーキーが大健闘だ。一線級投手との対戦で5戦7三振と苦しんだが、16日に行われた中日とのオープン戦(バンテリン)、6回一死で代打で登場すると、中日2番手・鈴木博の初球147キロ直球を中前へ。試合前、原監督から直接指導を受けた秋広は「ここまで三振が続いたことがなかったので、すごい苦しんだんですけど、原監督のアドバイスのおかげて今日ヒットが打ててよかったです」と、5試合ぶりの快音に安堵の表情だった。

適応力の高さは春季キャンプでも実証済みだ。一軍昇格後の宮崎キャンプでは紅白戦2試合で7打数5安打と大暴れ。続く沖縄キャンプでも、中日との練習試合で対外試合初安打を放つなど、プロの投手相手に必死に食らいついてきた。

並外れた成長力で、高卒ルーキーながらここまで一軍帯同を続けてきた秋広だが、活躍の理由はそれだけにとどまらない。球界関係者からは「現在はコロナ禍ということもあり、例年だったらキャンプ中に大挙する球界OBも今年は数える程度。これが秋広君にとっては大きかったのではないでしょうか」と意外な指摘があった。

どういうことか。「OBの方は自身の経験をもとに、新人に様々なアドバイスをしてあげます。ただ、秋広君みたいにメディアの注目度が高い選手になると人並み以上に助言を受けてしまう。普通の18歳だったら『何が正解なのか』と混乱してしまいますよね…」(前出関係者)。右も左も分からない新人が大先輩の意見に振り回され、本来の持ち味を発揮できなくなってしまった例は枚挙にいとまがない。ドラフト5位入団の選手なら、なおさら口を出したくもなる。

〝超大型新人〟にはチームも「極力、手を加えない方針」で指導を行ってきた。キャンプ序盤には、阿部二軍監督が「(秋広には)一切教えない。振れ、と。ある程度数多く打席を見て、そこからいじるところあれば、いじろうかなと。なきゃないでそのまま」と〝ノータッチ〟を明言。オープン戦に入り、壁にぶつかってからは原監督や後藤野手チーフコーチなどからマンツーマン指導が行われることはあったが、それまでは「天然素材」を活かして経験を積んできた。

キャンプ中に計測した打球スピードが、チーム内では岡本和に次ぐ数値をたたき出すなど、ポテンシャルの高さは一級品であることは間違いない。16日の試合後にも、指揮官は「(潜在能力は)並じゃないんだから」と改めて才能を高く評価。生まれ持った良さを崩すことなく、ここまでの過程を踏めたことが快進撃の隠された理由のひとつと言えそうだ。

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