普賢岳大火砕流から30年 「島原大変」題材に一人芝居 元島原市職員・内嶋さん 島原・森岳公民館で21日

公演に向け、一人芝居「山番」を練習する内嶋さん=島原市、森岳公民館

 43人の死者・行方不明者が出た1991年6月3日の雲仙・普賢岳大火砕流惨事から30年を前に、長崎県島原市内で舞台芸術などの創作に取り組む元同市職員の内嶋善之助さん(68)が21日、約230年前の「島原大変肥後迷惑」を題材にした一人芝居と朗読を森岳公民館(同市城内1丁目)で上演する。午後2時開演。入場無料。
 噴火災害の伝承をテーマにした演劇などに取り組む内嶋さんが、普賢岳の大火砕流から30年、東日本大震災から10年の節目に「過去の教訓を大切にしてほしい」との思いを込めた。
 一人芝居「山番」(約30分)と朗読「幸庵とおすわ」(約25分)の2演目。普賢岳の噴火活動に伴う眉山崩壊で、1万5千人の犠牲者を出した1792(寛政4)年の島原大変に関する民話や史実を基に、語り物に仕上げ、これまでも上演を続けてきた。
 山番は1994年創作。島原大変の前年、度重なる噴火前の地震を受けて山々の調査に向かった島原藩の山奉行配下の男が、大災害を暗示するてんぐと出会ったことなどを山奉行に報告するストーリー。幸庵とおすわは、島原地方で古くから伝承される物語を90年に作品化した。いずれも独特のせりふ回しで演じる。
 内嶋さんは「噴火から30年たつが、決して遠い昔の出来事ではない。節目に上演することで、当時を知らない若い世代が災害を学び伝承につながってほしい」と話す。

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