選抜抜高校野球大会 大崎、ミス響き失点 初陣で惜敗

【1回戦、福岡大大濠-大崎】9回2失点と粘投した大崎のエース坂本=甲子園

 第93回選抜高校野球大会第3日、甲子園初出場の大崎は福岡大大濠にあと一歩及ばず、1-2で敗れた。
 昨秋の九州大会決勝で勝っていた福岡大大濠に雪辱を許した大崎。「ミスを出して、一番やりたくなかった負け方。本当の厳しさが分かったはずだから、そこを生かして次にいってもらわないと困る」。小さな島からの初出場という注目だけで終えるつもりはなかったから、清水監督の静かな口調に無念がにじんだ。
 前回は登板しなかった両エースが先発。大崎の坂本は「カットボールもコントロールも全然駄目だった」と苦しい局面に何度も立たされたが、9回を自責点1でまとめた。バックも三つの併殺を記録するなど必死に支えた。終わってみれば1点差のロースコア。それだけに失策と与四球、バッテリーミスから唯一失点した二回が悔やまれた。
 九州同士の一戦で幕を閉じた初挑戦。不完全燃焼は否めないが、チームは廃部危機だった2018年に清水監督が就任してから3年弱で甲子園という夢物語を紡いだ。全国で「西海市の大崎」の名を確かに刻んだ。
 指揮官はこの日、その礎を一緒に築いた3年生とのLINEグループでメッセージを送ってベンチに入った。「1期生 お前(まえ)たちの魂もグラウンドに持って行って戦ってくるから」。ゼロに近い状態から、コロナ禍でも踏ん張った彼らがいなければ今はないと誰もが断言する、そんな先輩たちと挑んだ初陣でもあった。
 試合後、アルプスで後輩を見守った坂口前主将は言い切った。「弱いところが出て負けた。駄目な試合」。厳しい言葉は“もっとやれた”という期待あってこそ。敗戦は必ず次に生かす。

 


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