明確な争点なく混沌 長崎県議補選諫早市区情勢

明確な争点が見当たらない中で、支持拡大を訴える(右から)千住、松永、坂口、本山の各候補=いずれも諫早市内(右から届け出順)

 自民系2人、無所属、共産の新人計4人が争う県議補選諫早市区(被選挙数2)。各候補とも人口減少対策や若い世代の雇用確保策など共通する政策が多く、明確な争点が見当たらず、混沌(こんとん)としている。2議席独占を狙う自民と、「非自民票」の結集をうかがう無所属、さらに共産が競り合い、後半戦に突入する。

 同市区(定数4)は昨年5月、中村和弥氏(60)が政務活動費を巡る問題で辞職。大久保潔重(ゆきしげ)氏(55)が2月、諫早市長選に立候補するため辞職し、欠員2に。もともと予定されていた市長選、市議選と同じ3月28日の投開票となり、4候補とも慌ただしく準備に入った。
 「トリプル選」を想定して、昨年12月に名乗りを上げたのが元諫早市議の千住(せんじゅう)良治候補(48)=自民推薦=。4年前の市長選で現職を相手に善戦、市長選待望論もあったが、「県政から古里を活気づける」と転身を決意。全域で知名度があり、陣営は「それが逆に怖い」と上滑りを警戒する。
 自民公認の前同市議、坂口慎一候補(41)は、出身の高来町を中心に旧北高来郡が地盤のため、市全域への浸透が鍵を握りそうだ。2期の市議在任中、地域包括ケアシステム構築など細やかな提言で知られた。暮らしやまちづくり、教育など“豊かさ”をキーワードに挑む。
 両候補を公認、推薦した自民は党の街宣車を市内に投入し、県議会自民系2会派の県議たちがマイクを握る。今後の勢力図の行方をにらみながら、自民2議席独占へ全力を注ぐ。
 「政党に関係なく、市民の声を届けるのが政治家の役目」。こう力説するのは無所属の前同市議、松永秀文候補(42)。地元飯盛町や小野地区などで支持拡大に努め、「非自民」や無党派の取り込みに意欲を示す。「即戦力」を旗印に、同町の「道の駅」整備など県と市のパイプ役を目指す。
 自民2議席独占阻止を期すのは共産、本山敏彦候補(59)。連日、20回余りの街頭演説を重ね、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致反対などを主張。生まれつき四肢にまひがあり、車いすでの生活を送る。「コロナ禍で生活に困っている人、障害者や高齢者にやさしい県政が必要」と訴える。
 注目度が高い市長選、市議選の陰で、気になるのが投票率。2年前の県議選同市区は46.83%と低迷。「トリプル選」の相乗効果による投票率アップに期待を寄せる陣営が多い。選挙人登録者数(有権者数)は11万2764人(男5万2585、女6万179)=20日現在、県選管調べ=。

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