【スターダム】詩美 屈辱のワールド王座V4戦“古賀さん直伝技で勝利を捧げます”

ビー(右)と並んだ詩美は怒りの炎を燃やした

女子プロレス「スターダム」のワールド王者・林下詩美(22)が団体最高峰王座を巻く者の憤りをあらわにした。ビー・プレストリー(25)とのV4戦(4月4日、横浜武道館)は2大会連続でジュリア(27)にメインを譲る屈辱を味わった。それでも24日に53歳で死去した柔道のバルセロナ五輪男子71キロ級金メダリスト、古賀稔彦さん直伝の武器で赤いベルトの価値向上を狙う。

横浜決戦で詩美は元王者のビーを迎え撃つ。しかし本来なら団体の頂点を決めるはずのワールド王座戦はセミに位置付けられ、メインはゴッデス王座戦(王者の舞華、ひめか組対ジュリア、朱里組)に明け渡した。3日の日本武道館大会でもジュリアのワンダー王座戦にメインを譲った詩美は、2大会連続の屈辱に不満を隠せない。

「どうなんですかね。会社がジュリアを推してるのか知らないけど、この団体最高峰のベルトを持った林下詩美をぞんざいに扱うんですね、スターダムは。ちょっとやさぐれそうな時期です」

ゴッデス王座戦は日本武道館大会ではダークマッチだった。いきなりメインに昇格した理由は挑戦者組のネームバリュー、とりわけ武道館の髪切りマッチで話題を呼んだジュリアの存在であることは明白だ。

だが詩美にもプライドがある。「ジェラシーもありますし悔しさもありますし、団体最高峰のベルトへの敬意が足りないんじゃないかなと思ってます。これはクレームです。話題よりも尊重するべきものがあるんじゃないかな」と団体の方向性に異を唱えた。

もちろんネガティブな感情をいつまでも引きずってはいられない。そんな詩美を奮い立たせたのは、24日に飛び込んできた悲しいニュースだ。死去した古賀さんには、中学校時代に柔道の指導を受けたことがあった。

「当時住んでいた(香川県の)小豆島に古賀さん率いるIPU(環太平洋大)の方々が来てくださって、合同練習させていただいたんです。自分も直接指導してもらえる時間があって、古賀さんの娘さんとも手合わせしていただいたり。柔道への熱がすごい方で、人として優しかったです。指導も分かりやすかったですし、分かるまで教えていただいた」と振り返る。

古賀さんから教わった一本背負いは、今もプロレスのリングで使っている。訃報に大きなショックを受けながらも前を向き「これからもあの時の時間を無駄にせず、いろんな思いを背負って柔道技を大事に、どんどん使っていきたいと思います」と決意を口にした。スターダム、そして女子プロレスの未来を背負う王者の矜持を横浜決戦で見せつける。

© 株式会社東京スポーツ新聞社