3者合同で財政支援を要望 路面電車利用4割減、バスは2割減

田上市長に要望した(左から)森田常務、中島社長、太田局長=長崎市役所

 長崎市内の公共交通3事業者は25日、新型コロナウイルス感染拡大による利用減少の状況を明らかにした。長崎自動車(長崎バス)と県交通局(県営バス)は前年比2割減、路面電車を運行する長崎電気軌道は同4割減となった。
 2020年4月~21年1月の利用人員(県外高速バス、空港線、都市間輸送を除く)は長崎バス2507万人(前年比21%減)、県営バス1004万人(同18%減)。観光客の割合が多い路面電車は886万人(同38%減)に落ち込んだ。
 これを受け各トップらは同日、市役所を訪れ、運行維持への財政支援を田上富久市長に求めた。3者合同の要望は初めて。
 県交通局の太田彰幸局長は「経験がないほどの経営危機。乗務員は感染の不安を抱きつつ責任感を持って勤務し、運行を止めずにいる」と強調。長崎電気軌道の中島典明社長は「数億円単位の赤字になる。体力を奪われ、今後の設備投資に悪影響を及ぼしかねない」と懸念を伝えた。長崎自動車の森田誠常務は「もともと公共交通インフラは人口減少で厳しい。地域を支え続けるため、市も支援を」と訴えた。
 田上市長は、市や交通事業者でつくる市公共交通活性化協議会で追加支援策や地域交通の在り方を探る意向を示した。

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