「上層部の意識改革 必要」 日本ハラスメント協会 村嵜要 代表理事 インタビュー 「パワハラ」「超過勤務」佐世保署員自殺

日本ハラスメント協会 村嵜要さん

 -パワハラはなぜ起きるのか。
 パワハラをする人のほとんどは、どんな言動や行動がそれに該当するか理解しておらず、自覚もない。パワハラをしても特に問題にならなければ、結果的に職場で容認されていると思ってしまう。常態化すると、パワハラをする側もされる側も感覚がまひしていく。

 -警察は治安維持という役割があり、厳しい指導は必要とする考えもある。組織としてパワハラが起こりやすい特性はあるか。
 市民からのプレッシャーや期待を背負って仕事をしなければならず、必要以上の指導が多くなる特性はあると思う。だからといってパワハラは許されない。心の状態が正常で、初めて正しい判断をしながら業務ができる。厳しい指導という名の下で部下をつぶしてしまっては本末転倒だ。

 -パワハラを防ぐには。
 重要なのは一人一人の意識改革だ。責任感の強さには個人差があることや、ミスは起こり得るもので、それを必要以上に責めても逆効果なことを理解する。言いすぎたと思ったら素直に謝罪する。組織では上下関係があるが、人と人という視点に立ったときには上司も部下も対等。個を尊重するべきだ。

 -再発防止策は。
 まずは上層部の意識を変える必要がある。定期的な研修のほか、(怒りの感情をコントロールする)アンガーマネジメントも有効だ。被害者側は、正常な判断ができるうちに誰かに相談したり、調査をお願いしたりすることが大切。一番危険なのは現状維持。知らないうちに心が重症化し、うつ状態になると、主張するエネルギーもなくなる。

 【略歴】むらさき・かなめ 1983年、大阪府出身。社会人になってパワハラを受けた経験があり、パワハラ撲滅を目指して2019年2月に「日本ハラスメント協会」を設立。パワハラ加害者の更生支援活動を行っている。


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