株式投資の世界で40年、老兵がたどり着いた極意「あおいくま」とは

色々な投資の失敗を紹介してきましたが、このコラムも最後になりました。お金の勉強をするというと、どうしても目先の儲けに走ることが多くなると思います。

ただ、実際に投資をするということは畑に苗を植え、山に植林をするように一つの「里山」を作るようです。多様なお金の使い道がある中で、お金がお金を増やすことこそが投資なのです。


投機やゲームになってない?

特に株式投資は損をするから、お金持ちのやることだから、と敬遠する人が多いのも事実です。そして株式投資の記事では、いくら儲かったかということばかりが強調されます。雑誌やSNSを見てもいくら儲かった、損した、この株が大きく上がったと喧しく、カリスマ投資家だ何だと大騒ぎしています。

本来投資というのは、いくら儲かったか損をしたかではなく、何にお金を使ったかという観点から考える必要があると思います。車を買うのもパソコンを買うのも、「投資」です。「良いものを買った」ということが投資で成功したということでしょう。

快適な移動ができる車を買えば、お金を出して「快適な移動」という投資をしたわけですし、お金を「減らさない」という目的で預金をするのも立派な投資活動です。つまり、投資で成功するということは、お金の使い方を誤らないということなのです。

お金の使い道を考える

ですから、何事につけても投資をする=お金を使うということに関して、しっかりと勉強するべきでしょう。車を買うのであれば、どういう車なら投資価値があるのかを考えるわけです。

株式投資でも同じで、上がるから買う、下がるから売るということだけでは投資をしているとは言えません。しっかりとそのお金の使い道を目的から考えて使うということが大切なのです。

これまでの記事では、江戸時代の米相場などの相場格言も紹介しましたが、相場は古今東西何ら変わることはありません。最後は上がるから買うというような熱狂的な相場となり、皆が買ってしまった後に誰も買わなくなって大相場は終わります。

しかも、相場は終わったことに気が付かないうちに終わるもの。終わってから失敗に気が付くのです。

焦らないことが大切

株式相場に携わって40年近くになります。この40年間、相場はいつも違った顔を見せているのですが、振り返えると同じ失敗を何度もしました。つまり、投資に失敗はつきもので、何が失敗なのか成功なのかは考え方次第です。

ただ、相場格言でも盛んに言われているのが、「焦るな」ということです。株式相場は一分一秒が大切なのだ、とか、今買わなければだめだ!というようなことを言う人が多いので、どうしても焦ってしまうのです。

また、誰がいくら儲けたなどといううわさ話も多く、これも焦る要因になります。そして焦った結果が大きな損失ということがよくあります。

好きな企業に投資する

投資というと難しく考えてしまうことが多いと思います。しかし、投資を楽しむという姿勢を持ち続けていただきたいと思います。そして楽しむためには、人のいうことを鵜呑みにするだけでなく、小手先のテクニックを磨くだけでなく、自分の好きな企業に投資をするということで良いと思います。

そして、自分の好きな企業がなにかと言えば、自分の資金を使って大きな収益を上げる企業であり、世の中になくてはならない企業ということになるのだと思います。そうした企業に投資し、資産が増えれば楽しい投資ということになるでしょう。

ただ、好きな企業がしっかりと稼げなくなった時、見切りをつけるかどうかを迷うことがあるかもしれません。その際には、企業がどのような工夫と努力をして収益を上げようと考えているのかを考えれば良いでしょう。

投資をするには「あおいくま」が大切なのです。これは受け売りなのですが、あ=あせるな、お=おこるな、い=いばるな、く=くさるな、ま=まけるな、という「あおいくま」を頭に入れて投資に励んでください。

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