投資のキホン!ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析 どちらを重視すべき?

株式投資を始めるときに、何を見て株を買えばいいのかというのは誰もがぶつかる課題です。その際、企業の業績面などを分析して投資をする場合と、株価の動きを見て取引に参加する場合があります。

前者の分析を「ファンダメンタルズ分析」と言い、後者を「テクニカル分析」と言います。どちらの分析を使うのかが良いのでしょうか。


将来を予測して投資をする

将来を予測するのに、過去や現在の業績などから、将来の業績を予測して投資をすることがファンダメンタルズ分析です。一方で、過去の株価の動きから将来を予測するのがテクニカル分析だとしましょう。いずれにしても、過去から将来を予測するということに変わりはありません。

どちらかと言えば、ファンダメンタルズ分析は長期の本当の「投資」向きで、テクニカル分析は比較的短期の「投機」向きいうことでしょうか。

最近ではさらに超短期での取引が盛んになってきています。「ゲーム」として株式市場に参加している人も多くなっており、そういう参加者にとってはテクニカルもファンダメンタルズも関係ないかもしれません。ごく単純に、上がると思うから買う、下がると思うから売るというだけのゲームです。

ただ、実際には業績が良い銘柄に投資をしたいという人が多く、業績が悪くなりそうな企業には投資したくなくなるものです。そうした行動が株価の変動に表れ、株価の変動を見て取引をするテクニカル分析につながってくるのです。つまり、この二つの手法は密接に結びついており、いわば卵と鶏のような関係にあります。

どちらを重視すべきか

では、投資で失敗しないためにはどちらを重視すべきなのでしょうか。もちろん、人それぞれの投資や投機の仕方があり、どちらも見ながら自分で判断するということになります。昔とは違って、今は手軽に企業のファンダメンタルズの情報も株価チャートも手に入れることができる時代です。うまく使えば投資での失敗も少なくなるはずです。

世界的に著名な投資家で、バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、徹底的に投資先を研究して投資をすることで有名です。

都市伝説として伝えられているのは、一つの企業に投資をするのに資料が3メートルくらい積み上がったという逸話です。さすがに誇張されていると思いますが、彼の場合は企業そのものを買ってしまうくらいの規模で投資するので、そういう調査も必要となるのでしょう。

企業価値を図るのはファンダメンタルズ

実際、企業の買収などの際にはもちろん株価は気にしますが、テクニカル分析という手法を使うことはほとんどありません。企業価値を判断するので、まずはファンダメンタルズということになります。

我々の株式投資でも何ら変わることなく、ファンダメンタルズを分析して企業価値を計り、株価が割高なのか割安なのか、を判断しなければなりません。そして、その投資のリターンを得るにはある程度長い時間が必要なのです。

一方でテクニカル分析などは、どちらかというと短期間でリターンを得るために使います。株価の変動で利益を出すので、企業業績の変化よりも短期間の変化でリターンを目指します。そして、短期間で利益を上げたがっている人がいることも事実です。

投資と投機の違い

株価が10倍になるという意味の「テンバガー」という言葉が一時流行りました。株式セミナーを開催したとき、参加者ら『テンバガーになる銘柄を教えてください』と言われたことがあります。

その方は10年間で10倍になる株ではなく、1年程度で10倍になる銘柄を期待したのだと思います。実際にそうした銘柄を選べると喧伝している株式教室や投資顧問業者もあるようです。そうした「投機」を勧める向きは、ほとんどの場合がテクニカル分析を使っており、「○○式」などと謳っています。

仮に、テクニカル分析で短期間に10倍になった銘柄を選んだとしても、10倍になるまで持ち続けられたというケースはほとんどないでしょう。ところが、ファンダメンタルズ分析で買った場合は、5年で10倍になった場合でも持ち続けたという人も多いと思います。

これがいわゆる本当の投資ということであり、一番いい例が上場する前に投資をすることです。会社設立時に投資し、その会社が上場すれば、リターンは何十倍、何百倍にもなります。

時間をかけて堅実な投資を

もちろん、投資でも投機でも、ファンダメンタルズとテクニカル双方の分析をすることも大切なのです。ただ、言葉の定義の問題もありますが、「投資」はファンダメンタルズ重視で行い、「投機」はテクニカル重視で行うと割り切って考えれば、投資での失敗を減らすことができると思います。

そして何より大切なのは、「投機」よりも「投資」を重視し、無理をせずに時間をかけて資産を増やすということです。ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も関係なく、上がるから買うという「ゲーム感覚」で株式を売り買いすることは否定しません。ただ、資産を増やすというよりは、あくまでもエキサイティングな経験をするというゲームに過ぎないということを認識するべきでしょう。

一攫千金を夢見るのではなく、堅実に投資をするために必要なファンダメンタルズ分析、テクニカル分析のスキルを磨きながら、資産を増やすと良いと思います。

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