野尻智紀「難しいコンディションでも、落ち着いて走ることができた」【SF第1戦富士決勝トップ3会見】

 4月4日に富士スピードウェイで開催された2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦富士の決勝レースで優勝を飾った野尻智紀(TEAM MUGEN)、2位の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位の福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そしてTEAM MUGENの田中洋克監督が決勝後の会見でレースを振り返った。

野尻智紀(TEAM MUGEN)

決勝 優勝

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 野尻智紀(TEAM MUGEN)

「今週は走り出しから調子がすごい良かったです。僕たちがこの開幕戦に向けて作ってきたものが、ものすごく機能していて、走り出しからいい手応えを感じていました。昨日の予選は結果のとおりポテンシャルを出し切れましたが、今日のスタートでは少し僕自身もミスがありました。ただ、以前からクラッチに関しては少しだけ不安を持っていたので、そんな、あまり自分の感覚とフィットしない部分があのスタートに出てしまったのかなと思いました」

「ただ、最初は大湯選手が速かったのですが、6周ほどしてから、こちらに分があるとわかりました。ミニマムでピットに入るか、それとも引っ張ろうかと考え、ミニマムで入ろうと決めたところで、うまく大湯選手をかわすことができました。そのため、(ミニマムでピットに入るのをやめて)ステイアウトするという選択をし、最後まで引っ張ることにしました」

「今回はいつ雨が降るかという難しいコンディションでしたが、そのなかでも落ち着いて走ることができました。チームとホンダが素晴らしいパッケージを用意していただけたので、今日は僕の力というよりかは、みなさんに勝たせてもらったという感じかなと思っています。僕は最後まで集中を切らさずやれることをやっただけです。次はもっともっと思い切ってプッシュをし続けたいし、今日は少し置きにいってしまったところもあったので、その辺を改善していきたいなと思いました」

「最後になりますが、僕のマシンのカラーリングには大きなメッセージが込められています。今一度お伝えさせていただきたいのですが、新型コロナウイルスの感染拡大により不安定な状況が続くなか、医療従事者、医療に携わる方々のご尽力に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。次もまたいいレースを見せることができるように、頑張りたいと思います」

田中洋克監督(TEAM MUGEN)

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 田中洋克監督(TEAM MUGEN)

「素直に嬉しいの一言です。ドライバーの野尻選手におめでとう、ありがとうを言いたいですね。今年も2台体制を継続できましたが、それはスポンサー様、関係者様のご尽力があってこの体制が築けました。本当に感謝しております。そしてスタッフも毎回とてもいい仕事をしてくれるので、こういった結果が得られたことは、すごい嬉しく思います。これからも連続でポール・トゥ・ウインを狙って頑張りたいと思っています。本当にありがとうございました」

「今日は雨の予報が出ていましたから、ドライに替えてから、またレインに替えるというのは避けたいという思いはありました。そのため、(雨が降り始めた際に)先頭を走ることができていれば、絶対に雨が降る直前まで引っ張るとチームで決めていましたので、それがうまくいったなと思います。スタートで2位に落ちましたが、野尻選手がうまく前に出てくれたので、その作戦をとることができました」

「(クルマは)持ち込みからすごく調子が良かったです。それは去年のルーキーテストからクルマ作りをして、いろんなデータ取りをした結果、持ち込みがうまくいったのだと思います。さらに、野尻選手がまだ足らないところの微調整を行ったことで、さらなるタイムアップに繋がったというところです。エンジニア、メカニックがすごくいい仕事をしてくれたと思います」

■大湯「昨年から続く、レースペースの悪さが出てしまったレース」

大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

決勝 2位

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

「前回の富士も2位で、今回も2位ということで、今回の一番の目標だった表彰台に上がることができ、よかったなと思います。ただ、昨日から野尻選手が本当に速くて、常に素晴らしいポテンシャルを出していました。今週末を通して、強かったなと思うと同時に、さすがだなと思いました。この優勝はチームと野尻智紀選手を含めた頑張りの結果だと思うので、(野尻選手)本当におめでとうございます」

「僕もこのままだといけないなと。シリーズを戦う上ではもっと頑張らなければいけないので、チーム一丸となって次のレースに向けて準備していきたいなと思います」

「今日はタイヤを替えた直後のアウトラップや、レース序盤で速さは見せられたのかなと思います。しかし、タイヤのマネジメントを含めて僕自身も最善を尽くしたのですが、やはり昨シーズンから続いているレースペースの悪さという部分が出てしまったレースなのかなと思います。テストでもレースペースの改善を重点的にやってきてはいたのですけど、今日は結果的にドロップすることになりました。それでもチームが色々な面で頑張ってくれたので、2位を獲得できました。本当にチームには感謝しています。チームと一丸となって、次こそはレースペースも改善できるように頑張っていきます」

福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

決勝 3位

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

「僕にとってDOCOMO TEAM DANDELION RACINGで走るのは3年目ですが、体制が少し変わりました。エンジニアが杉崎(公俊)さんに変わり、クルマも5号車の方に乗らせていただいて、昨シーズン山本尚貴選手がシリーズタイトルを獲った体制で走っているということで、自分のなかで結構プレッシャーがありました」

「昨日の予選も不甲斐ないというか、自分の実力でなかなかいいクルマに仕上げられず、うまく杉崎さんにフィードバックすることができなかった結果だと思うので、予選の後は落ち込んで、メンタル的にもきつかったです。でも、チャンピオンシップのことを考えて、少しでも前でゴールできるようにと意識して、レースに挑みました」

「ロングランはテストのときにたくさん行っていたので自信はありましたが、雨が降りそうなコンディションだったこともあって、うまくアジャストすることができず、今日のレースのロングは少し苦労したところもあります」

「けど、大湯選手に追いつくことができて、レース中盤にかわすことができたのですけど、雨の降ってきたタイミングでピットに入ったかたちとなり、アウトラップでなかなかタイヤが温まらず、大湯選手にやられてしまい結果は3位になりました」

「戦略など、色々と考えてくれたチームのみなさんに感謝して、次の鈴鹿こそはいいレースをし、自分自身がもっと成長できるようにこれからも頑張っていきたいと思います」

2021年開幕戦で表彰台を獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ホンダ勢が表彰台を独占する結果となった2021年の第1戦富士

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