「教養を身に付けたい」66歳下山さん 五島高定時制に入学 長年の夢かなえる

定時制の入学式で、宣誓文を読み上げる下山さん=五島高

 県立五島高定時制に今春、建築業の下山春雄さん(66)=長崎県五島市坂の上1丁目=が入学した。「高校に進学し、より多くの知識や教養を身に付けたい」。そんな長年の夢をかなえた。
 現在の新上五島町若松郷に、10人きょうだいの8番目として生まれた。戦後間もない頃、きょうだいはみな、中卒後に就職した。多くの同級生が高校に進む中、下山さんは気持ちを抑えて五島市内の建設会社に就職。そこでも、働きながら同校定時制に通う同僚たちがうらやましかった。
 23歳で独立し、25歳で二つ年下の妻つよ子さんと結婚。二男二女をもうけた。「子どもたちには、思う存分教育を受けさせたい」と、睡眠時間を削って働いた。4人は大学院や医療専門学校などを卒業し就職した。
 何事もまずは行動することを心掛けている。4人の子どもたちを育て上げた「自分へのご褒美」に昨年定時制入学を決意したが、「地域に貢献したい」という思いも強く今年2月の市議選に立候補するため断念。結果は450票で落選したが、投票してくれた人たちの1票の重みをかみしめ、感謝の思いでいっぱいだった。
 8日夜、同校であった入学式。新調したスーツで出席した下山さんは新入生を代表して宣誓した。英語などの勉強やクラブ活動に励み、卒業後は、地域のボランティア活動を頑張りたいと夢を描く。
 下山さんは「皆勤賞を目指し、一日一日精いっぱい学びたい」と語った。


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