【富士フイルム・スタジオアリス女子OP】稲見萌寧が〝生中継ギリギリ〟の劇的2週連続V

稲見萌寧

演出力もピカイチだった!? ゴルフの国内女子ツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」最終日(11日、兵庫・花屋敷GCよかわC)は稲見萌寧(21=都築電機)が小祝さくら(22=ニトリ)とのプレーオフを制して2週連続優勝。今年3勝目で、今シーズン4勝目を挙げた。初日から進行が遅れた大会は最終日が急きょ生中継に。最後のウイニングパットが決まっていなければ、決着は誰も見られなくなっていたかもしれなかった。

今大会は開幕前日(8日)深夜に中継スタッフのPCR検査陽性が判明。濃厚接触者特定のために初日にスタートが6時間半遅れ、2日連続で日没サスペンデッドに。

最終日も通常なら10時前後の最終組のスタートが午前11時10分に。ホールアウトは午後4時すぎの見込みだった。

テレビ中継は午後3時半~4時55分。放送が始まった直後に稲見が17番でバーディーを取って単独首位に立ち、小祝は18番をプレー中。稲見が18番でボギーを叩いて勝負はプレーオフになり、予定外の生放送はこの日朝の「マスターズ」で松山英樹(29=LEXUS)が単独首位に立ったのに続いて見ごたえのあるものになった。

ところが、1ホール目で決着がつかないと、実況の声が心なしか落ち着かなくなる。この時点で4時半ごろ。日没には余裕があるものの、3ホール目に突入すると放送枠に収まらなくなる可能性があるからだ。

その2ホール目は小祝がバンカーから2メートルに寄せ、稲見は8メートルのバーディーパットを残す。入れれば優勝、だがやさしい距離ではない。それでも「勝負を決めるつもりで打った」パットは見事にカップに吸い込まれた。

すぐさま行われた表彰式では、ひと通りの賞金&賞品の贈呈が行われ、優勝スピーチもオンエア。さらに敗れた小祝のインタビューも放送されたところで終了、という絶妙のタイミング。

もちろん狙ってできるものではないが、無観客での大会はテレビに収まらなければファンは誰も優勝シーンを見ることができなかっただけに、強さだけではない、他のモノも「持っている」ことを感じさせた勝利だった。

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