長崎・ワクチン接種 高齢者「ありがたい」 供給時期不明、市町不満も

接種してもらってありがたい」と話す堤施設長(左)=長崎、恵の丘長崎原爆ホーム

 65歳以上への新型コロナウイルスワクチン接種が始まった12日、長崎市で接種を受けたお年寄りは「感染が心配だった。本当にありがたい」と喜んだ。一方、市町の担当者からは「国からの提供時期が分からず、5月以降の計画が立てられない」と不満が漏れる。前例のない大規模接種事業の行方には不透明感も漂う。
 県内の高齢者接種1例目となった長崎市三ツ山町の特別養護老人ホーム「恵の丘長崎原爆ホーム」。施設によると、真っ先に受けた80代と90代の入所者は緊張した様子だったが、打ち終わると「全然痛くなかった」「ありがたい」と笑顔を見せたという。
 現在は感染防止のため面会を禁止している。堤房代施設長は「(入所者が家族と会えず)心苦しい。感染が落ち着いたら再開できるか検討したい」。ただ変異株が県内でも確認されるようになり、「警戒感は強い。対策はこれまで通り」と表情を引き締めた。
 クラスター抑止のため入所者と施設職員を同時期に接種する自治体もある。だが長崎市は「供給量が足りない」との理由で職員を後回しにした。
 接種を心待ちにする声は施設入所者以外にも多い。脳梗塞の持病があるという長崎市小菅町の男性(78)は「早く打ちたい。いつ接種できるか分かれば気持ちも落ち着く」と話す。ただ65歳以上は県内に約44万人いる。国が示している供給量は4月の2万962人分(2回接種分)にとどまっている。

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