DeNAドラ2・牧がチームの新たな主役に「二塁一本なら浅村になれる」

ルーキーながらDeNA打線の目玉になりつつある牧

【赤坂英一 赤ペン!!】レイズ・筒香、巨人・梶谷がベイスターズの顔だった時代も、今や遠い昔のことのようだ。昨季首位打者となった4番・佐野に続き、今季は開幕早々、ドラフト2位新人・牧秀悟内野手(22)が新たな主役になりつつある。

8日には打率4割3分1厘、13打点で一時、セ・リーグの2冠に浮上。2号ソロ本塁打は球団通算8000号となった。開幕前、牧がこれほど活躍するとは予想できなかった。

どちらかといえば地味で寡黙。中大時代には侍ジャパン大学選抜の4番まで務めながら、人気も知名度もいまひとつ。中学の陸上競技大会でサニブラウンに勝ったという話題性を持つ同級生、五十幡亮汰外野手(日本ハム・ドラフト2位)の方がマスコミの注目度も高かった。

プロのキャンプでも、同じ打者の大卒同期生、阪神ドラフト1位・佐藤輝が話題を独占。牧は、常に誰かの陰にいる存在だったのだ。が、旧知のDeNA関係者は、キャンプ中から牧への期待のほどをこう力説していた。

「今年は外国人の来日が遅れるし、4番・佐野、5番・宮崎以外の打順はまったくの白紙。3番か6番を任せたい牧がどれだけ打てるかが、ウチの命運を握ってるんだ」

そこで気になるのが、牧の今後のポジション。オープン戦までは本職の二塁を守っていたが、開幕後は新型コロナ禍で来日の遅れたソト不在の穴を埋めるため、一塁へ回されていた。

そのソトが11日から合流し、13日のヤクルト戦から出場選手登録される見込み。そうなればソトが一塁に入り、牧は二塁に戻される可能性が高い。先週末の阪神戦では二塁の守備固めに入っており“慣らし運転”は済んでいる。

牧は大学3年時、遊撃から二塁へコンバートされ、打撃成績も飛躍的に上がった。大学2年時までは最高で打率2割7分1厘。2年春には1割2分8厘まで落ち込んでいたが、二塁に配転された3年春には一気に打率4割、長打率7割に急上昇。3年秋には出塁率も5割を超える“大化け”ぶりだった。

二塁の守備範囲は広くないものの、非常に堅実と評価されていた。スカウトの間では「セカンド一本でいけば楽天・浅村のようになれる」という声もあったほど。

最近、牧の打棒は湿りがちだったが、二塁に復帰すればまた調子も上向いてくるはず。ソト復帰後は二塁・牧のプレーにも改めて注目していきたい。

☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。

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