新型コロナウイルスとの戦いは続いています。緊急事態宣言の発出や日本全体のがんばりのおかげで3月末にかけて新規感染者数は大幅に減少し、緊急事態は全都府県で解除されました。しかし、宣言解除後に再び感染者が急増し、東京や大阪などの一部地域ではまん延防止措置が取られています。
英国などワクチンの接種率が高い国々の感染者数の推移を見ると明らかにワクチンは高い効果を発揮しており、日本でも摂取が進むにつれて感染は抑え込める可能性が高まっています。気を引き締めながらもうひと頑張りしていきましょう。
感染者数は増加していますが、世界の主要な株価指数は堅調に推移しています。NYダウ平均やドイツのDAX指数は直近で史上最高値を更新しました。一方で日経平均も2月に3万円を回復したものの、足元は2万9,000円台でやや足踏み状態といったところです。
日経平均が再び3万円台に乗せ高値を更新していくために必要なことは、今期の企業業績がV字回復することが示されることでしょう。まもなく3月決算企業の決算発表が始まりますが、先に2月決算の小売企業の結果が発表されています。本日は、2月決算企業の特徴をご紹介します。
小売業56社の決算を集計
4月13日までに決算発表を行った2月・8月決算の小売業に属する56社について12~2月期の決算集計を行いました。
表の通り売上高は1%減と微減でしたが、営業利益は17%の大幅減となりました。業種別に見ていくと、勝ち組・負け組がはっきりと分かれた決算になっています。
まず不調な業種からご紹介すると、アパレル、コンビニエンスストア、百貨店、飲食店といった業種です。
以下の表に示した全ての企業が、前年同期比で営業減益となりました。新型コロナウイルスの影響で実店舗への集客が難しい中、ECやお持ち帰り需要の喚起など各社工夫をこらしていますがなかなか挽回には至っていません。
一方で好調な業種は、スーパーマーケット、家電量販店、ホームセンターといったところです。これらの業種が好調な理由も非常にわかりやすく、「人々が自宅で過ごす時間が増えた」ことで新たな需要が生まれたということでしょう。
投資判断のポイントは今後同様の傾向が続くのかどうかというところにあります。今年の後半になれば日本でのワクチン接種も進み状況も多少は変わってくるでしょうが、人々が1度覚えた便利なライフスタイルを全く前の通りに戻せるかというとそうはならないでしょう。
今後もしばらくはこれらの勝ち組業種・負け組業種の差は広がったままになるかもしれません。さて、まもなく本格化する3月決算企業の決算発表はどのような傾向となるでしょうか。好調な決算と高値追いを期待したいところですね。
<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>