未完の大器がいよいよ覚醒? 西武・今井達也が掴んだ“制球難”克服の術とは

日本ハム戦に先発した西武・今井達也【写真:宮脇広久】

「真っすぐは去年より明らかに良くなっている」という自信

■西武 2ー1 日本ハム(15日・メットライフ)

西武は14日、本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦に2-1で競り勝った。先発の今井達也投手が6回3安打1失点に抑え、今季初勝利を挙げた。球界有数の快速球の持ち主だが、それと背中合わせの制球難が課題。この日は「相手打者のひざの高さを狙って投げると、結果的にベルトより少し上の真ん中高めに行く」という“アバウト投法”が功を奏した。

この日もストレートは最速155キロを計測して7三振を奪った一方で、四死球も5(四球4、死球1)を数えたが、ここぞと場面で崩れなかった。初回2死から近藤を四球で歩かせたものの、4番・中田を真ん中高めの152キロで一飛に仕留めた。

「前回登板も、前々回も立ち上がりが悪かったので、意識していました。連続四球がなかったのは良かった」と今井。前回登板の7日・楽天戦では、初回にいきなり1番・辰己、2番・小深田に連続四球を与え、これをきっかけに先制点を献上。5回5安打6四死球3失点で敗戦投手になった。その反省を生かしたと言える。

制球がそこそこまとまった秘訣を「真っすぐは基本的に高めに投げているのですが、最初から高めを狙うと、すっぽ抜けてボールになることが多く、四球も増えた。イメージとしては、相手打者のひざの高さを狙うと、結果的にベルトより少し上の真ん中高めに行くことがわかった」と表現した。

辻監督も認めるポテンシャル「やはりいいピッチャーですよ」

失点は、4回2死二塁から三塁手・中村の送球エラーで許した1点のみで自責点は0。6回までに106球を投じたが、ストレートはほとんどが150キロを超え、最後まで衰えなかった。辻発彦監督は「100球を超えても150キロ以上を投げられるのだから、やはりいいピッチャーですよ。特に今年は、白星こそ付いていなかったけれど、いい球を投げている。大事な場面で気持ちが前面に出て、腕が振れているのが成長したところ」と評した。

作新学院高時代は言わずとしれた夏の甲子園優勝投手。昨年はオープン戦で快投を続け、投球フォームが少し似ていることなどから「細ダルビッシュ」と呼ばれ、華々しいブレークが期待されたが、蓋を開けてみれば、3勝4敗という寂しい結果に終わった。今年はプロ5年目を迎え、同い年の選手たちが大学を経てプロ入り。年齢的にも待ったなしのシーズンだ。

昨季オフにはウエートトレーニングの量を増やし、体重が今年のキャンプイン時点で昨年比5キロ増の75キロに。「真っすぐが去年より明らかに良くなっている。コースが少し甘くてもファウルや空振りを取れたり、フライアウトになったりしている」と自信が確信に変わりつつある。6回で降板となり、今井自身は「できれば7回までは投げたかった」。こういった展開で終盤を任されるようになってこそ、一人前の先発ローテの柱と言える。そこまで行けば、球界を代表する右腕と呼ばれる日も近い。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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