長崎から福島へ支援を 長崎大原研教授の高村氏が講演

「長崎は福島にとって大きなサポーターになる得る」と話す高村氏=長崎市茂里町、長崎ブリックホール

 創価学会長崎平和委員会による「長崎平和学講座」が17日、長崎市内であり、長崎大原爆後障害医療研究所(原研)教授で昨年9月に福島県双葉町に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」館長を務める高村昇氏が「東日本大震災から10年~長崎から福島へ」と題して講演した。
 講座は1989年から核廃絶や反戦などをテーマに同市内外で開き85回目。市民ら約50人が聴講した。
 高村氏は、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で医師として甲状腺検査などに携わったことから、2011年の東京電力福島第1原発事故直後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任。専門家として自治体や住民に助言を続けてきた。
 高村氏は「避難指示によって住民の外部被ばくの線量は低く、食品管理により内部被ばくも低減化。いずれの線量も健康に影響を及ぼす量ではなかったが、住民の不安は大きく、ギャップがあった」と指摘。復興支援へ長崎くんちの演(だ)し物「太鼓山(コッコデショ)」に福島県川内村のヒノキが使用されたことなども振り返った。
 高村氏は「事故から10年たっても古里に戻れない福島県民が3万人以上いる。除染や廃炉を考えると事故はまだ終わったことではない。原爆から復興した長崎は福島にとって大きなサポーターになり得る。福島産の果物を買うだけでも大きなサポート」と支援を呼び掛けた。

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