鷹・スチュワートが“グレート先輩”ムーアから刺激 メジャー最強右腕と投げ合う

メジャー最強右腕と投げ合ったムーア(ロイター=USA TODAY)

もうリップサービスは必要ない――。17日の西武戦(メットライフ)で一軍デビューを果たしたソフトバンクのカーター・スチュワート投手(21)。3年目の春につかんだ初マウンドは、2三振を奪って1回無安打無失点と上々だった。2019年5月、ソフトバンクに加入。前年の全米ドラフト1巡目(全体8位)指名を受けた最速158キロ右腕の入団は話題を呼んだ。

剛腕は今、充実のメンタルで戦っている。4月6日、スチュワートは心を揺さぶられた。リアルタイムで観戦したメジャーリーグ中継。画面に映っていたのは昨季、同僚として薫陶を受けたマット・ムーア投手(31)だった。「マイグレートセンパイ、フォアボール、ダメデシタネ」。1年でメジャー復帰を果たし、今季からフィリーズに加入したムーアは初登板で、現役メジャー最強右腕の呼び声高いデグロム(メッツ)に挑んだ。「尊敬する先輩が、あのデグロムと投げ合う姿を見て興奮したし、刺激的だった。それは僕が目標とするところでもあるから」

この春、スチュワートは「ホークスでできるだけ長くプレーしたい」と発言したことがあった。その言葉に球団内からはうれしさ半分、寂しさ半分の反応があった。弱気とはとらえていないが「6年契約満了後に日米大争奪戦」という「最高のシナリオ」を目指してほしいとの思いからだ。

「僕の後に続く選手がどんどん出てきてほしい」。母国の後輩に憧れを持ってもらうために、一番のサクセスストーリーが自身の早期のメジャー逆輸入であることは本人も理解している。再来日前、ムーアから掛けられた言葉は「目標を見失わず頑張るんだぞ」。“グレートセンパイ”は、今も道を示してくれる貴重な存在だ。

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