波佐見陶器まつり 2年連続延期 万全の対策も関係者落胆

延期が決まった波佐見陶器まつりのメイン会場。テント設営などの準備が進んでいた=20日、東彼波佐見町、やきもの公園

 2年ぶりの開催決定から一転-。長崎県内最大の陶磁器イベント「波佐見陶器まつり」の延期が20日、決まった。感染対策を徹底し「ウィズコロナ」での開催を準備していたが、県内の感染急拡大を前に「苦渋の決断」(児玉盛介・同まつり協会会長)を余儀なくされた。産地の書き入れ時を2年連続で失い、関係者は一様に落胆した。
 メイン会場となる東彼波佐見町のやきもの公園では、既にテント設営などの準備が進んでおり、児玉会長は「広報や設営、感染対策などで既にかなり支出している」と頭を抱えた。
 協会が2年ぶりの同まつり開催を発表したのは3月末。「安心・安全に対応した新しい陶器まつり」と銘打ち、レジの一元化や商品包装のセルフサービス化など独自に設けたルールや対策をPRしていた。「万全の対策を準備してきた。業界がまとまった波佐見だからこそ開催できると思っていたが」と肩を落とした。
 レジ一元化や出店料増額で当初は窯元や商社の出店の動きが鈍かったが、最終的に例年の半数ほどの約80社が集まった。窯元でつくる波佐見陶磁器工業協同組合の松尾慶一理事長は「例年通りとはいかないが『何もしないよりは』と説得して回った。陶器が売れにくい夏場をしのぐための重要な場。延期は相当な痛手だ」とため息をついた。
 隣町の佐賀県有田町で「有田陶器市」の中止が決まった今月13日以降は、協会事務局や町役場に問い合わせの電話が相次いでいた。県が19日の会見で「県外から多数の来場が見込まれるイベント開催は中止も含めて慎重に検討を」と要請したのを踏まえ、協会は延期を決めた。
 新しい開催時期は未定。同まつり実行委員長で窯元「和山」の廣田和樹社長は「オンライン販売など今できることに注力するしかない」と前を向いた。波佐見町の一瀬政太町長は「業界への打撃を最小限に抑えられるように町としても必要な支援をしなくてはならない」と述べた。


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