「次世代への基盤づくり使命」田上富久長崎市長 4期目任期折り返し

残りの任期では「待ったなしのテーマに全力で取り組む」と語る田上市長=長崎市役所

 長崎市の田上富久市長は25日で4期目の任期折り返しとなる。感染の第4波が県内でも急拡大している新型コロナウイルス対応や人口減少対策、残り任期での取り組みについて聞いた。

 -昨年からコロナ対応に追われた。市の対策は。
 基本的に感染拡大防止と社会経済対策、ポストコロナの三つの柱で取り組んできた。強く感じたのは個人戦ではなく総力戦だということ。国や県市、大学などの連携が重要で、特に長崎大には中心的役割を担ってもらった。国の給付金の対象とならない事業者も、市の一時金については支給対象にして支援している。零細業者や個人に目配りすることが、基礎自治体の役目だと考えている。

 -新型コロナ対策について、現時点の自己採点を。
 まだ終わっていない。総力戦であり、自分たちだけの点数は付けられない。

 -人口減少に歯止めがかからない。原因の分析や市としての対策は。
 近年、若い女性の転出に加え、大村市や諫早市などに家を建てて転出するケースが目立つ。これらは新しい傾向だ。何か一つではなく、いろんな対策を複合的に進める必要がある。新しい産業の種を育てることに力を入れつつ、(建物の)容積率の緩和によって家賃を下げる。「若い人に選ばれる町」を目指したい。

 -11月にはMICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」が開業する。改めて意義や狙いを。
 観光以外の目的で長崎を訪れる人たちをつくる装置がMICE施設。決して思い付きや流行で取り組んでいるのではなく、交流都市の戦略を考えた時に不可欠だった。コロナ禍で、オンライン会議も組み合わせた「ハイブリッド型」として、光ケーブルの回線を増やすなどして対応した。地元業者や市民にも波及効果、恩恵がある施設にしたい。

 -残りの任期では何に取り組むのか。
 大型事業による町の変化だけでなく、地域コミュニティーの仕組みなども変えてきた。次世代に向けたハードとソフト両面の基盤づくりを進めている。それは今の時代にバトンを持たせてもらった市長としての使命だ。それが今、ようやく形になり始めている。コロナ対策のほか、脱炭素社会、防災など待ったなしのテーマに全力で取り組む。

 -5期目については。
 まだ何も考えていない。今は残りの任期に全力を尽くしたい。


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