【全日本】「引退したの?」と友人が勘違い 宮原が存在感低下に危機感

宮原(右)の鋭いヒザが諏訪魔の後頭部を襲った

全日本プロレスの宮原健斗(32)が、不退転の決意で2年ぶりの春の祭典「チャンピオン・カーニバル(CC)」優勝へひた走る。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言の発令により、無観客開催となった25日の公式戦では3冠ヘビー級王者の諏訪魔(44)と激突。シャットダウンスープレックスホールドで勝利し、4勝2敗の勝ち点8で首位タイをキープした。「俺は優勝するしかないんだ。俺には優勝しか似合わないんだ」。原動力となっているのが、存在感が薄れつつあることへの危機感だ。

約1年前まで宮原は、王道マットの中心だった。2019年のCCでは18年ぶりに3冠王者での優勝を果たし、20年2月には最多記録に並ぶV10を達成。記録ずくめだったが、歯車が狂ったのは同年3月23日。V11戦で諏訪魔に敗れ「あれから露骨に注目度が減ったんですよ。東スポも僕の記事が減った。気のせい? そんなはずないでしょ。それにSNSでエゴサしても、明らかに僕に関する書き込みが減ったんです…」と世の冷たさにさらされた。

それからというもの「僕がいなくても全日本は問題なく進んだ。だからこそ『自分の存在って何なんだ?』って思った」と悩み続けた。CC開幕前には「エースを名乗るのをやめます」と宣言。肩書を捨て自分にハッパをかけたつもりだったが「福岡の友達が引退したと勘違いして『いつ帰ってくるの?』って連絡してきた…」と悲しすぎる結果が待っていた。

「これ以上停滞したら、本当に引退に追い込まれる」。現状を打破するには、CC制覇からの3冠王座奪還しかない。最高男は復活ののろしを上げられるか。

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