緊急事態宣言初日は東京隣接県に“越境者”続々 専門家は「県境封鎖しないと無意味」

東京とは対照的に神奈川・桜木町は多くの人でにぎわった

東京、大阪、兵庫、京都で25日から3度目となる緊急事態宣言が始まった。4都府県と限定で発出したことで、初日の日曜は対象外の地域で休暇を楽しむ人の姿が目立った。飲食店や百貨店などに休業要請を出しても、路上での飲み会や宅飲みを行う人が増えては感染を抑え込むことはできない。専門家は「意味のない政策はやめた方がいい」と指摘する。

緊急事態宣言の対象外となった東京に隣接する神奈川、千葉、埼玉は「東京は息苦しい」とばかりに多くの“越境者”であふれた。

神奈川・横浜市の人気観光スポットのみなとみらいでは、多くの人が買い物やレストランでの食事を楽しめば、桜木町駅前から横浜ワールドポーターズ前を結ぶロープウエー「ヨコハマエアキャビン」が22日に開業したばかりとあって、人気となった。

また千葉・浦安市にある「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」はこれまでと変わらず営業となったため、多くの人であふれた。

都内の百貨店や映画館もほとんどは臨時休業、休館となり、酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対しても休業要請が出されたが、都外に足を運べば、営業しているとあって、政府の措置には疑問も残る。

防災・危機管理アドバイザーであり医学博士の古本尚樹氏はこう指摘する。

「飲食店を介した感染は全体の1割に満たない。最近は、時短営業などの影響で増えた路上飲酒でのクラスターの方が感染リスクが高まっている。すでに感染対策を行っているような飲食店では感染者は出にくい。だから酒の提供をやめさせたり、飲食店に集中した制約は意味がない。問題なのは、ひそかに営業しているような、政府の監視から漏れている飲食店。そういった店では感染者が発生している。隠れて営業を行う店を探して感染対策を行わせることが重要ではないか」

古本氏は、今回の宣言に設けられた期間の短さも問題視している。

「期間が短すぎてほとんど効果がない。国民は疲弊し慣れてしまったことで宣言の効力が弱くなっている。対象地域を絞るなら、県境を封鎖して人の流れを止めないと意味がない」

3度目の緊急事態宣言は期間が短く、対象地域も少ないだけに国民の行動を抑える効果があるとは思えないという。政府は今後、別の方法で感染者を抑え込む政策を考える必要がありそうだ。

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