確定申告忘れたら?副業の所得は20万円超で必要、無申告で起こる怖いこと

2020年はコロナ禍の影響でいきなり在宅勤務となり、多すぎる家の中のモノを整理したり処分したりする人が多かったようです。ものは試しと、その不用品をフリマアプリ(フリーマーケットアプリ)で売ったり、通勤に費やしていた時間で副業を始めたりして、少し儲かったという話も耳にします。金額的にはわずかだし、申告しなくても大丈夫だと思っていると、後々後悔することになるかもしれません。

所得税の確定申告が必要なのか気になっているあなた。申告が必要かどうかはっきりさせて、もし申告が必要なのに忘れていることに気づいたら、2021年は例年より申告期限が1か月長くなっているので、傷が大きくならないうちに対処しておきましょう。


どういう場合に所得税の確定申告が必要なのか?

給与所得者は、年末調整で課税関係が終わる人がほとんどなので、確定申告の必要はありません。給与所得だけの人は、確定申告に不慣れということもあって、面倒に感じるかもしれませんね。しかし、国税庁のHPによれば、

・給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
・1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
・2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

などの場合には、確定申告をする必要があります。

ここで気になるのは、「給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人」ではないでしょうか。

副業で20万円超の所得を得たら申告義務・納税が発生

多様な働き方として、副業を認める会社も多くなってきました。会社員であっても、隙間時間を使ってダブルワークに取り組む人もいます。そういった場合には、どのように確定申告すべきかどうか悩むのではないでしょうか。

副業を確定申告する場合には、種類と内容によって、「給与所得」「雑所得」「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」などに区分されます。

副業で確定申告する必要があるかどうかの基準として、「所得が20万円を超えている」かがあります。経費を差し引いた所得が20万円を超えない場合には、確定申告の必要はありません。しかし、年末調整が済んでいる給与所得の人でも、副業として所得が20万円を超えていれば確定申告の対象になります。

アルバイトをはじめ、週末起業やその他の収益を全部合計した金額になります。申告すべきかどうか迷うものに、一時期ブームになった仮想通貨の売却で得た利益や民泊がありますが、いずれも雑所得となり、課税の対象です。その場合、雑所得内での損益通算はできますが、他の所得との損益通算はできません。

雑所得金額の計算は
収入金額-必要経費=雑所得
となります。

確定申告の義務が発生すれば、副業だからとか、金額があまり大きくないからという理由で確定申告を免れることはできません。

フリマアプリで収益が出たら申告はどうする?

次に、フリマアプリで収益が出た場合を見ていきましょう。副収入といっても、フリマアプリで得た収益は、生活に使っている資産(古着や家財など)を売った場合には非課税で、確定申告は不要です。

しかし、ハンドメイドのアクセサリーやバッグなどを売った場合には、生活に使っている資産ではないので課税対象となり、確定申告が必要になります。また貴金属、宝石、書画、骨董は、1個あたり30万円を超える場合には、生活用動産とみなされず、譲渡所得の対象となります。

一般的には、継続的、反復的に営利目的で売却し、フリマアプリを利用して収益を得た場合には、雑所得に該当します。最近ではゲーム機やゲームソフトを大量に仕入れ、ネットオークションサイトで転売する「転売ヤー」と呼ばれる個人まで登場してきました。ネットオークションやフリマアプリで売るから確定申告が要らないわけではありません。

国税庁のHPには、雑所得になる具体例が掲載されています。

インターネットのオークションサイトやフリマアプリなどを利用した個人取引による所得
・衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
※生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。
・自家用車などの資産の貸付けによる所得
・ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得
・ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得
・民泊による所得
※個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。

国税庁 タックスアンサー No.1906から引用

申告期限が過ぎていることに気づいたら、どうすればいい?

申告する義務があって、申告をせず納付期限が過ぎている場合、1日も早く確定申告をしましょう。税金の申告・納付は、期限内に行うことを前提にしているので、納期限を過ぎてしまうと罰金的意味合いから、遅れた期間に応じて「無申告加算税」や「延滞税」が課せられます。

無申告加算税は、期限内に申告・納付しないときに課せられるものです。通常、課税される税額の15%で、納付すべき税額が50万円を超える場合には、その超える部分については20%となります。しかし、気づいて税務調査前に自主的に申告する場合は5%になります。

ただし、無申告加算税は、5年以内に再度賦課される場合には10%加重されることになっています。大目に見るのは、1度だけというわけです。

延滞税は、期限後に遅れた期間に対してかかる税金で、納期限後2か月以内は年2.5%、納期限後2か月超は年8.8%になっています(令和3年分の場合)。早く納付すれば年2.5%で済みますが、遅れてしまうと年8.8%も課税されることになります。超低金利の時代なのでわずかな預金利息しか付かないのに、時間が経てば経つほどかなりの負担が過重されてしまいます。

たとえば令和2年の所得税の申告(申告期限4月15日)、納税額が10万円の場合で11月30日に期限後申告・納付をしたときの無申告加算税と延滞税を見てみましょう。税務調査の通知前に自主的に申告しているとします。

無申告加算税
10万円×5%=5,000円

延滞税(令和2年の場合)
10万円×229日×年2.6%÷365日=1,631円
100円未満は切捨て 1,600円
加算税・延滞税の計算をもとに試算。

もし、税務調査の結果にもとづいて期限後申告を行う場合には、無申告加算税は15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%)なので、もっと納税額が増えることになります。

追徴課税の連絡は、ある日突然やってくる

バレなければ、確定申告しないでおこうと考えるかもしれませんが、申告漏れをそのまま国税庁が見逃してくれるはずはありません。国税庁の「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によれば、インターネット取引を行っている個人の対する追徴税額は、これまでで最も多い65億円に達したそうです。1件あたりの追徴税額は349万円で、所得税の実地調査全体が222万円であるのに対し、1.6倍となっています。国税庁でも情報の収集・分析に努め、各国税局に専門チームが在籍しており、積極的に調査をしているとのことです。申告義務者や家族の銀行口座の履歴はもちろんのこと、SNSの投稿までチェックして調べあげるというからすごいものです。

追徴課税の連絡は、申告期限後すぐにあるわけではありません。確かな証拠をつかんでからになるので、2年後ということもあります。もし、「いつ、自宅にお伺いします」という税務署からの実地調査の連絡があれば、追徴は覚悟したほうがいいでしょう。知り合いの例でも、税務署は何らかの「おみやげ」(追徴課税)を持って帰ると話していました。調査の段階で証言に偽りがあって、仮装や隠ぺいがあれば追徴額に対し重加算税が課せられます。

もし、確定申告が必要なのかどうか不安な点があれば、お近くの税務署や税理士に相談することをおすすめします。

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