厚木市議ら「異常な事態」、市の対応批判 横浜地裁で議会発言削除訴訟

横浜地裁

 厚木市議会での質問が「不穏当発言」とされ、市のホームページ(HP)の会議録から削除されたのは正式な手続きを踏んでおらず違法だとして、名切文梨市議が同市にHPへの記載などを求めた第1回口頭弁論が10日、横浜地裁(岡田伸太裁判長)で開かれた。名切市議らが意見陳述し、「あしき前例を作ってはならない」と強調した。

 名切市議は、削除された発言が同市立病院の運営改善に関する質問だったことを踏まえ、「発言そのものを削除してしまえば、その改善の機会も失われ、議会での議論自体が意味を持たなくなってしまう」と指摘。議員が行政の監視機能を果たせなくなると訴えた。

 原告側代理人の福田護弁護士は、「過去に例がなく、異常な事態」と糾弾。発言内容について、「どこが不穏当なのか理解できない」と市の対応を批判した。

 訴状によると、名切市議は2019年11月28日の定例会で質問に立ち、市立病院の運営方法に言及。「(叔父は)歩いてトイレに行ける状態だったのにおむつにされてしまった」と書かれた中学生の作文を紹介し、「敬愛ある医療を目指していただきたい」と要望したところ、議長が発言を不穏当として、HPから削除したという。

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