〈2021上越市長選〉「3テーマわたしの視点㊦」地方自治 徳久恭子さん(立命館大法学部教授、47) 転機迎え制度柔軟に 転機迎え制度柔軟に 

 上越市の地域協議会制度や住民組織を調査研究している。新市長の任期4年間は「コミュニティー存続の重大転機となる」とし、「既存の制度をどうてこ入れするか、センスが問われる」と指摘する。

 職員が有する情報や「聞こえない声」を重視すべきと説く。「若者や女性、共働き世帯など、日常的には政治にくみしない生活者の不満や妥協点を探ること。職員が持つ情報を吸い上げ、集約して還流させられるか」を必要な資質とみる。「地域に交付するお金の精査、事業の選択と集中の決断も必要になる」と話す。

 過去30年の間に、市民の生活スタイルや家族構成は変化した。「今後求められる自治は従来と異なる。高齢化や共働き化が進む中では、地域を支える人を、従来と違う発想で見つけねばならない。政策需要は増え、担い手は減る中での公共サービスの新しい供給体制を考えないと、非現実的な政策になる」

 地域協議会制度の在り方は重要な論点だ。「新市長は協議会に期待することを示すべきだ。域内分権するならどのような機関として位置付けるかも明示する必要がある」。「例えば地域活動支援事業は申請者の手挙げ式。協議会の主体性は限られる。域内分権したら、協議会は資金投入の方向性や必要性も議論するのか。公共サービスに対してどんな役割を果たすか、地域ビジョンまで作成するのか、今後に注目したい」としている。

〈両立候補予定者の公約〉

中川幹太氏

・木田庁舎の一極集中から「地域分権」へ新しい自立した地域づくりを目指す

・地域独自の予算を立て、市長に提案する制度の導入

・総合事務所に地域、地元のことが分かる職員を配置

・高齢者、通学者が安価で利用できるコミュニティーバスの設置

野澤 朗氏

・各地域の特色を生かした「未来へのシナリオ」を市民と作る

・地域コミュニティー存続のための住民による助け合い活動支援

・中山間地で住民組織などが行う買い物代行サービス、移動支援事業の支援

・どこで暮らしても高校に通うことのできる公共交通維持

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