夢は世界一の空手家 鎌倉の中学生、全国大会・形の部優勝 強さの秘訣は「練習あるのみ」

空手の練習で真剣な表情を見せるタンポスさん=茅ケ崎市

 空手で頂点を目指す中学1年生が鎌倉にいる。鎌倉市立腰越中学校のタンポス悠人さん(13)。6歳で黒帯を取得し、昨秋には全国大会・中1男子形の部で優勝した。新型コロナウイルス禍で一時は大会中止が続いたが、空手が好きとの思いで練習を重ね、「世界一に」と夢が膨らむ。

 体をぶらさず、切れよく拳を突き出す。「エーイ!」。練習場に気合を込めた声を響かせる。緊迫感ある力強い動きを見せる表情は、真剣そのものだ。

 4歳の時、空手に出合った。「強くなりたい」との思いがあり、祖母の長嶋有子さん(68)の提案で、日本空手協会の支部に入った。長嶋さんも習い始め一緒に練習するうちに「負けず嫌いな性格」からのめり込んでめきめき上達した。

 小学3年で、アイルランドで開催された世界大会に初出場し、小3男子形の部で3位に。その後も小4男子形の部で全国1位、アジア・オセアニア大会の小5男子形の部で4位と活躍を続けた。県内から世界の大会まで獲得したメダルは63個にもなるという。

 強さの秘訣(ひけつ)は「練習あるのみ」。何よりも空手が好きな思いが原動力だ。「仲間と一緒に気合を出すと、心が盛り上がる。形は、自分の思ったところで動きの切れがつくれるから楽しい」

 そんなタンポスさんだが、小学5年の全国大会で予選敗退した時は悔しさを味わった。試合の映像を見返し、原伸定師範(51)に助言を求め、体の使い方や、「必死さが足りていない」と改善していった。

 悔しさを晴らすはずの翌年は、コロナ禍で大会が全て中止に。それでも「1年延びた分、もっともっと強くなれると思った」と地道に練習を重ねた。中学生になった昨年、9月に群馬県であった「小中学生全国空手道選手権大会」の中1男子形の部で優勝した。

 今後の目標は「ずっと空手を続けて世界一になって、いろんな人を守れる空手家になりたい」と前を向く。

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