「病気と理解し適切な治療を」 横浜で薬物依存症テーマにセミナー 回復者や家族らが登壇

専門家らが登壇した「薬物依存症者と家族オープンセミナー」=横浜市港北区の横浜ラポール

 薬物依存症者の家族らを対象にしたセミナーが27日、横浜市港北区の横浜ラポールで開かれた。NPO法人「横浜ひまわり家族会」(岡田三男理事長)などの主催で、専門家や依存症からの回復者らが「『薬物依存症は病気』という正しい理解を広め、適切な治療につなげることが大切だ」と訴えた=写真。

 神奈川県立精神医療センター(同市港南区)の小林桜児副院長が「依存症患者をどう理解し、治療につなげるか?」をテーマに基調講演し、発症の背景や悪化の要因を説明した。それぞれのペースで回復のプロセスを歩んでいく依存症者の様子を家族が見守り、「家族自身が楽に生きる方法を模索することが重要」と訴えた。

 セミナーでは、依存症からの回復者や家族らが登壇。登壇者の一人は「薬物をやめることができず、苦しんできたが施設に入って命を救われた。大変だったが人生は変えられる」と話した。

 同家族会は1996年に薬物依存症者の家族らで設立され、専門家を招いた研修会や家族同士が悩みを話し合う教室の開催、電話相談などの活動をしている。岡田理事長は「コロナ禍で生きづらさを感じ、症状が悪化する人が増えている。困難な時代でも安心して相談できる場を育んでいきたい」と話していた。

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