生後11カ月の女児死亡医療事故 遺族と横浜市東部病院の運営法人が和解

女児の写真を前に、会見で和解の思いを語った両親=25日午後、横浜市中区の県弁護士会館

 腹部に針を刺し肝臓の組織の一部を採取する検査(肝生検)を受けた生後11カ月の女児が、検査後に死亡したのは病院側のミスが原因だったとして、両親が横浜市東部病院(横浜市鶴見区)を運営する社会福祉法人「済生会」に約9200万円の損害賠償を求めた訴訟は25日までに、横浜地裁(山田真紀裁判長)で和解が成立した。病院側が両親に解決金を支払うなどの内容で、和解は18日付。

 和解金額は明らかにしていないが、原告側の弁護士は「損害賠償請求額に近い金額」と説明した。

 女児は2010年9月に同病院で肝生検を受けた。原告側は、検査後に脈拍数や呼吸数の異常に加え、手足の冷えや唇が青紫色になるチアノーゼが確認されたのに、病院側が適切な対応をせず、女児が死亡したと主張。死因は肝生検に起因する出血死だったことが司法解剖で明らかになったとし、病院側の術後管理の不備を訴え、17年10月、提訴に踏み切った。

 病院側は、「ミトコンドリア肝症」という特殊な疾患で容体が急変し死亡したとして、過失を否定していた。

 神奈川県警は19年11月、主治医だった男性医師と検査後の管理を担当した別の男性医師を書類送検した。地検は同年12月、二人を不起訴処分としたが、検察審査会が主治医だった医師を不起訴不当と議決。地検は20年8月、再び不起訴処分とした。

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