アメリカン・リーグ 後半戦地区別展望

レッドソックス、ヤンキース、アストロズの3球団が100勝ペースを維持して前半戦を終えたアメリカン・リーグ。もし同一リーグから100勝チームが3つ誕生すれば史上初の出来事となる。アスレチックスの猛追により一時は前述の3球団にインディアンスとマリナーズを加えた5球団で確定かと思われたポストシーズン争いも白熱しつつあり、マリナーズが17年ぶりのポストシーズン進出なるかも注目されている。そんなアメリカン・リーグの後半戦の行方を地区別に占ってみよう。

東部地区

7割近い勝率(.694)を誇るレッドソックスが地区優勝の最有力候補であることは間違いない。ムーキー・ベッツやJ.D.マルティネスが期待通りの働きを見せ、打線の破壊力はリーグ屈指。投手陣もすでに2ケタ勝利が4人と安定しており、ほとんど穴が見当たらない。トレード市場ではポストシーズンを見据えた補強に動くことになりそうだ。4.5ゲーム差で追うヤンキースはルイス・セベリーノ以外に頼れる先発投手がいない状況。打線は歴代最多ペースで本塁打を量産するなど破壊力を発揮しており、田中将大の復調が求められるのはもちろんのこと、先発投手の補強に動く可能性が高い。「継投戦法」を駆使して勝率5割以上(.510)をマークしているレイズだが、ポストシーズン進出は難しい状況。有力選手の放出に踏み切る可能性もある。ブルージェイズも投打に戦力不足の感は否めず、売り手に回るはず。オリオールズはマニー・マチャドを放出し、来季以降に向けてのチーム再建に着手した。

中部地区

昨季ポストシーズン進出を果たし、さらなる躍進を目指して戦力補強を行ったツインズが借金6と期待外れの戦いに終始しており、勝率5割以上をマークしているのは地区首位のインディアンス(.547)だけ。リリーフ陣の不調もあり、やや不安定な戦いが続いたものの、ツインズとはすでに7.5ゲーム差がついており、地区優勝は有力だ。フランシスコ・リンドーアやホゼ・ラミレスが快打を連発する一方、ブルペンや外野に穴があり、トレード市場で補強しておきたいところだろう。ツインズはブライアン・ドージャーがトレード候補に挙がるなど、もはや売り手モード。タイガースもニコラス・カステヤーノスらの放出に動く可能性がある。ホワイトソックスは将来を担う若手選手が経験を積んでいるものの、まだ再建途上。後半戦はさらなるトップ・プロスペクトのデビューも期待される。両リーグ最低勝率(.284)のロイヤルズはマイク・ムスターカスのトレードが最大の注目ポイントとなりそうだ。

西部地区

昨季のワールドシリーズ王者・アストロズが今季も強さを発揮している。強力打線が健在なのに加え、チーム防御率2点台(2.94)と昨季以上に安定した戦いを見せており、目立った穴はケン・ジャイルズがマイナー降格となったクローザーくらい。ここをしっかり補強できればワールドシリーズ連覇も夢ではない。一時はアストロズから地区首位の座を奪うほどの快進撃を見せたマリナーズは17年ぶりのポストシーズン進出を目指す。しかし、得失点差がマイナスを記録するなど決して盤石の戦いとは言えず、しっかり補強に動いておきたいところだ。アスレチックスは6月以降の快進撃でマリナーズを猛追。フロント陣は買い手に回ることを明言しており、ポストシーズン争いを面白くしてくれそうだ。大谷翔平が所属するエンゼルスは勝率5割以上(.505)をキープしているものの、ポストシーズン進出は極めて難しい状況。レンジャーズはトレード候補の有力選手を上手く売り捌けるかが焦点となる。

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