「大転落からの復活か、オランダ代表を牽引する6人のキーマン」

EURO2016、ロシアW杯と立て続けに予選敗退を喫し、オランダ代表の凋落ぶりは世界中のサッカーファンに大きな衝撃を与えた。

だが、その悪夢から一転。

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ディック・アドフォカートの後任として2018年より指揮を執るこロナルト・クーマン監督の下、“オランイェ”が復活の兆しを見せつつある。

今回は「大転落からの復活か、オランダ代表を牽引する6人のキーマン」と題し、現チームにおいて重要な存在となっているプレーヤーたちを紹介しよう。


フィルヒル・ファン・ダイク

Virgil van Dijk
1991年7月8日生まれ(27歳)
ポジション:CB

今や「世界最高のセンターバックの一人」と数えられるほどに成長したファン・ダイク。チームに与えるその大きな力は、彼の加入後に劇的に守備力が向上したリヴァプールでも既に証明しているが、オランダ代表においても同様だ。

190cmを超える体躯を活かした圧倒的な空中戦の強さはもちろんのこと、大柄ながらスピード勝負も苦手としない稀有なタレントで、空陸ともに向かうところ敵なし。また、ボール奪取後のビルドアップ能力にも定評があり、GKから積極的に攻撃を組み立てる、現在のオランダ代表のシステムにおいても大役を担っている。

また、強靭な精神力に対する評価も高く、ヴェスリー・スナイデルの後にキャプテンを任されたことも当然の流れと言え、左腕に腕章を巻いたその姿はリーダーの風格を漂わすものだ。

若くして代表の主軸となったマタイス・デ・リフトが、19歳ながら落ち着いたプレーを披露して周囲を驚愕させたが、それを可能にさせた最大の理由は彼の横にファン・ダイクという頼もしい存在がいたからだろう。

マタイス・デ・リフト

Matthijs de Ligt
1999年8月12日生まれ(19歳)
ポジション:CB

オランダ伝統のセンターバック像を継承する若き俊英は、在籍するアヤックスだけでなくオランイェの一員としても輝きを放っている。

自らを「自分はいかにもオランダらしいセンターバック」と分析するように、攻撃参加も意欲的で、機を見て持ち上がるオーバーラップは、オランダがこれまでに輩出した数々のレジェンドたちを彷彿とさせるものだ。

もちろん、肝心な守備も非の打ち所がない。積極果敢なボールアタックは迫力に溢れ、危険地帯を予想してのカバーリングも秀逸。また、ファン・ダイクと同様にスピード面での不安もなく、UEFAネーションズリーグ第2節のドイツ戦では、後半から出場してきたルロイ・サネの高速ドリブルにも対応してみせた。

「ビッグクラブへの移籍は時間の問題」とも言われているが、さらに高いステージでの活躍が叶えば、オランダ代表にとっても大きなメリットをもたらすだろう。

メンフィス・デパイ

Memphis Depay
1994年2月13日生まれ(24歳)
ポジション:CF/LWG/RWG

「ヴェスリー・スナイデルの背番号10を誰が引き継ぐか」はオランダサッカーファンの中で一つの大きな話題であったが、その後継者に選出されたのがメンフィス・デパイであった。

「何もかもが若すぎた」と振り返るマンチェスター・ユナイテッドでの挑戦では挫折を味わったが、フランスのリヨンに身を移すと、水を得た魚のように躍動。2017-18シーズンには国内リーグで19得点13アシストと大爆発し、オランダ代表の攻撃陣を牽引する役割をロナルト・クーマン監督から授かった。

オランダの前線は「流動性」という言葉が似合うほど、シチュエーションに応じて様々な形に変化する特徴を持っているが、そこで活きてくるのが彼の持つ「多様性」である。

基本ポジションは最前線の中央ながら、決してその位置に止まることはなく、ポジションを下げてMFとのラインを繋げるリンクマン、はたまたサイドでウインガーの役割なども兼務。

さらに、これもスナイデルから引き継ぐようにプレイスキッカーも任されており、その貢献度の高さは「チーム一」と称しても過言ではない。

フレンキー・デ・ヨング

Frenkie De Jong
1997年5月12日生まれ(21歳)
ポジション:CMF/DMF/OMF/CB

これまで数々の英才を世に輩出してきたアヤックスにおいて、マタイス・デ・リフトと並んで「国外移籍は秒読み」と噂されるビッグタレント。

軸となるプレースタイルはパスワークでゲームを組み立て、機を見ては前線に顔を出すものだが、とりわけ相手に脅威を与えるのがストライドの大きな「ドリブルでの組み立て」だ。

オランダ代表は、中盤の低い位置で起用された選手がセンターバックの横に落ちてビルドアップに参加するシステムを基本戦術に取り入れているが、彼が起用されることによりその効果が数倍にも飛躍する。

パスとともにドリブルで敵陣まで運ぶ武器も備えているため、対峙した選手はパスコースを消すだけではなく、距離を詰めての守備を強いられ、その結果として守備ブロックに穴が生じるためだ。

世界広しと言えども、中央低めのポジションにいながらドリブルでゲームをコントロールできる選手はなかなか見つけることはできない。

既にオランダ代表においても戦術上のキーマンとして君臨しつつあるが、今後の成長次第では、そのチーム力を何ランクも向上させる可能性があるだろう。

デンゼル・ドゥムフリース

Denzel Dumfries
1996年4月18日生まれ(22歳)
ポジション:RSB/CB//DMF

オランダ代表における右サイドバック(3-4-3を採用する時は右ウィングバック)の人選は、ロナルト・クーマンが抱える一つの悩みどころであったが、この男の登場により、瞬く間に解消されそうだ。

PSVアイントホーフェンに所属する22歳は、恵まれた身体能力を武器に積極的な攻撃参加を見せるだけではなく、守備でも対人戦での強さを発揮するなど、高次元の万能性が魅力。

クーマン体制のオランダ代表は、サイドバックが大外のレーンを一人でみる機会が多くなるため、攻守両面で際立ったパフォーマンスを見せられる彼が抜擢されたのは当然の成り行きとも言える。

今後はイタリアのアタランタで活躍するハンス・ハテブールと彼とのポジション争いが、オランダ代表の一つの注目点となりそうだ。

ジョルジニオ・ワイナルドゥム

Georginio Wijnaldum
1990年11月11日生まれ(28歳)
ポジション:CMF/OMF/RMF

彼がウインガーであったことを覚えている者はどれほどいるだろうか。今や世界屈指のダイナモへと進化し、無尽蔵のスタミナをベースにピッチを所狭しと駆け回るその姿が彼の代名詞だ。

その持ち前のダイナミズムはオランダ代表においても必要不可欠で、正確なポジショニングでカウンターアタックのチャンスをうかがい、「ここぞ」の場面ではペナルティエリア内に思い切って進入。その強烈なシュートで幾度となくゴールネットを揺らす。

ドイツ代表を3-0で一蹴したUEFAネーションズリーグ第2節では、アンカーポジションでドイツの攻撃を司る、ヨシュア・キミッヒを注視しつつも攻撃陣のサポートを行うトップ下としての任務を全う。試合終了間際にはダメ押し弾となる3点目を名手マヌエル・ノイアーから奪ってみせた。

現在の代表チームでは、所属するリヴァプールでも主戦場としているセントラルミッドフィルダーだけではなく、上述のようにより高い位置で起用されることも少なくない。様々な戦術に対応するその能力は、いかなる指揮官も「最も信頼のおける家臣」として手元に置きたくなるだろう。

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