先日行われたAFCチャンピオンズリーグ準決勝で、得点の取り合いの末に水原三星を破った鹿島アントラーズ。
来月行われる決勝戦の相手は、カタールの強豪アル・サッドを破ったペルセポリス。イランで最も大きいアザディ・スタジアムを本拠地とする人気クラブが立ちはだかる。
「レッド・アーミー」との通称も持つクラブにはどんな選手がいるのか?その中で5名の警戒すべきプレーヤーをピックアップしてみたぞ。
DF:ショジャー・ハリルザデー
代表チームにはあまり呼ばれないものの、イラン国内リーグでは屈指のセンターバックの一人となった29歳。
決して大柄ではないものの、スピードや反応を生かしたディフェンス、そしてドリブルでの持ち出しやキックの精度にも長けているオールラウンダーである。
大ベテランDFサイード・ジャラル・ホセイニ、サイドバック兼任の大型レフティDFムハンマド・アンサリとともに、ペルセポリスの最終ラインで中核を担う存在だ。
何年もの間イラン代表に入っていたホセイニと比べれば知名度は低く、まだ世界的にも知られていない存在であろうが、むしろ彼こそがペルセポリスを後ろから支える選手である。なんとしても潰したい相手だ。
MF:バシャール・ラサーン
このところ知名度を一気に高めている存在バシャール・ラサーン。イラクリーグでは14歳、イラク代表には17歳と8ヶ月13日でデビューしているという早熟の天才だ。
父親のラサーン・ボニャンもかつてはイラク代表としてプレーした人物で、その才能を受け継いでいるのか、息子も非常にセンスのある選手だ。
かつてはボランチとしても起用されたりしたが、ウイングやトップでもプレーできるなど応用力はピカイチ。フィジカルの強さはそれほどないが、高いスキルと運動量、機動力を備えているアタッカーだ。
今年10月に行われたアルゼンチンとの親善試合中に見せたスキルが話題になる一方、それと時を同じくして実の母親が息を引き取るという経験をした。
彼は試合終了後にその事実を知らされ、母親が眠る病院へ駆けつけたという。
FW:アリ・アリプール
もしかしたら今イランで最も「ノッている」アタッカーかもしれない。来月24歳になる彼は、今年代表にデビューしたばかりであるが、昨季のリーグ戦で19ゴールを決めて得点王となり、大ブレイクを果たした。
179cmという体格は決して目立つものではないが、ゴール前に侵入するスピード、両足でシュートに持ち込めるテクニックはピカイチだ。
サイドで受ければ自らドリブルで持ち込むこともでき、ポストワークができる選手をパートナーにして起用するには理想的な点取り屋といえよう。
また大一番に強い選手でもあり、まだ23歳でありながら「テヘランダービー(エステグラルとの試合)で2回決勝点を決めた歴史上唯一の選手」でもある。
今後イラン代表でも飛躍が期待されているアリプール。今のうちに唾を付けておいて損はない。
FW:ゴッドウィン・メンシャ
これまではスペインの下部リーグやマルタでプレーしてきたため知名度は乏しいが、所属した各チームで結果を残してきたナイジェリア出身のストライカーだ。
絶対的な存在であるアリプールのパートナーとしては、シャマク・ネマーティと併用されている状況だったが、シーズンが進むに連れて彼が定着してきた。
身長自体は182cmと書かれているのだが、そのようには感じられないほど身体能力に優れている。豊かなパワー、スピード、そして空中戦の強さ。
ACLでも名だたるディフェンダーが彼と真っ向勝負を試みて敗れてきた。ターゲットマンとしてのみならず、パスで味方も使えるというのも強みであり、アリプールを活かす存在としてゴール数以上の存在感がある。
実は得点力自体は高くはなく、ペルセポリスのレベルでゴールを量産できるかというとそうではない。しかし彼がいるだけで周りが生きる、そんな怖さを持つストライカーだ。
GK:アリ・レザ・ビランヴァンド
今回のペルセポリスを決勝まで導いたのは、まさにこのイラン代表の守護神であろう。
急成長を遂げた26歳のゴールキーパーは、何度もピンチを救い、そしてチャンスを作ってきた。攻撃陣がアジア最高レベルとは言い難いチームがここまで来られた理由はそれだ。
先日行われた準決勝のセカンドレグでもチャビ・エルナンデスのシュートを奇跡的なセーブで弾き、世界的にも話題を集めた。
彼の特徴は圧倒的な強さを持つ「肩」と言われ、相手ゴール前まで届こうかというスローイングができる。しかしその一方でキックの精度にも優れており、攻撃面の能力は高い。
そして守備の点でも鋭い反射神経と194cmの身長を生かした高さ、鈍重者を感じさせないスピードで隙を見せない。鹿島アントラーズは彼の牙城を崩せるのか?