最後まで笑顔のまま 大切な仲間とともに 涙をふいて 部活で得た財産<2>

仲間との残された日々を笑顔で楽しむ佐世保西ハンドボール部の3年生=佐世保市、佐世保西高体育館

 2012年にインターハイで8強入りした佐世保西高女子ハンドボール部。主将の川島麗は2年前の春、この県トップレベルのクラブに「勉強との両立」を誓って入部した。同級生は6人。特別推薦の田中遥以外は初心者だったが、笑顔が似合う仲間たちだった。
 励まし合い、懸命に先輩の背中を追い掛けた日々。中学からの経験者が多い一つ上の学年は頼もしかった。ハンドを始めて約1年後の春、チームとして17年ぶりとなる全国選抜大会へ連れて行ってもらった。
 その年の県高総体もそうだった。全校応援の中、7年ぶりの優勝旗を勝ち取った感動は忘れられない。夏のインターハイは初戦で敗れたけれど、全国で躍動する先輩たちは格好良かった。
 インターハイ後に代替わりして、主将を任された。「私たちも先輩たちみたいになりたい」と始動したが、プレーの精度が上がらず、けが人も続いた。思うようにいかなくて、悔し涙を流しながらミーティングをした日もあった。
 11月の県新人大会は3位。ここから、約7カ月後の県高総体へ向けて、全員で成長していこうと頑張ってきた。なのに、年が明けて新型コロナウイルスの感染が拡大。3月からは休校と部活休止が続いた。
 入学後初めて、みんなと会えない時間。部員全10人のLINE(ライン)グループで連絡を取り合った。それぞれが自主練習や勉強などの生活状況を書き込み、刺激し合った。戦術や山口麻利子監督の温かいメッセージも共有して、何とかメンタルを保っていた。
 4月に入ると、インターハイをはじめ、各種大会が中止になった。最大の目標だった県高総体も5月14日、中止が決まった。ずっとけがをしていた浜崎守麗が練習復帰したのは最近。今回は同級生6人が初めて一緒にコートに立てるチャンスだった。浜崎は「私にとっては集大成じゃなくて、最初で最後の大会だった。達成感を味わえないまま終わるのは悔しい…」と泣いた。みんな、泣いた。
 でも、最上級生が落ち込んでいたら、後輩たちは不安になるだろう。引退する5月下旬まで、みんなともう少しハンドを楽しもう。「最後まで私たちらしく笑顔で」。そう決めた。
 ハンドを終えたら、次は大学受験が待っている。苦楽をともにした仲間たちの存在は、きっと力になるはずだ。大切な“宝物”とともに、もう一つの目標へ向かって前に進む。


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