共稼ぎの世帯の生命保険の入り方、 妻が死んだ場合まったく保障がないことも…

「夫には生命保険にキチンと入ってほしい」と思っている人は多いのではありませんか。

でも、一方で妻の生命保険に関しては、意外と無頓着かもしれません。じつは、妻が死亡したときの方が保障は少ないというのを知っていますか? 共稼ぎ夫婦の場合は、夫と妻の2人の収入で家計を支えているわけです。もし、収入にそれほど差がなければ、同じリスクがあるはずです。

しかし、住宅ローンを組んでいる場合は、団体生命保険が夫名義になっていたり、妻の死亡の場合には遺族年金がまったく出ない場合もあります。夫の死亡に比べて妻の死亡の方が保障は少ないと言ってもいいのです。

今回は、妻の死亡と生命保険についてお話ししましょう。


共働き世帯が増えている

1990年の半ばから、共働き世帯と専業主婦世帯との割合は、拮抗していましたが、1997年以降は共働き世帯の方が多くなって、2018年には共稼ぎ世帯の割合は67%になりました。

専業主婦の世帯の場合には、夫の収入で家計を支えているので、夫にもしものことがあれば、家族が路頭に迷うことになります。夫が手厚い死亡保険に入るのは正しい考え方です。

では、共稼ぎの夫婦の場合、どんな生命保険に入ればいいのでしょう。

共稼ぎの場合、どちらか一方が亡くなった場合でも、収入がまったく無くなると言うことはありません。そう考えると、大きい保障は必要がないかも知れません。しかし両方の収入で家計を維持してきたのですから、収入が半減するとしたら、かなり厳しくはなります。それぞれが困らない金額の死亡保障に加入しておくのがいいでしょう。

住宅ローンの団信の入り方で保障が変わってくる

住宅ローンを組んでいると団体信用保険(団信)に入っていると思います。団信の契約者が夫の場合、夫が死亡した場合には、ローンの残債がゼロになります。妻が死亡しても、契約者ではないので住宅ローンは残ります。「ペアローン」なら、ご自分が契約している分のローンの残債はなくなります。

妻が死亡したときの遺族年金を受け取れる条件とは

もしもの時にもっとも頼りになるのが、遺族年金です。遺族年金には2種類あります。遺族基礎年金と遺族厚生年金です。自営業などの人は遺族基礎年金だけですが、会社員などの人には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取ることができます。

しかし、この場合も夫が亡くなった場合を優先されます。妻の場合は、条件が合わないとまったく受け取る事ができないことがあります。妻が死亡したときの遺族年金は、とてもややこしくなってきますが、ご辛抱ください。妻が死亡したときだけのケースを説明します。

・夫が55歳以上60歳未満で、子どもがいる場合(18歳になった年度の末日までの子ども)。

夫に遺族基礎年金と遺族厚生年金

・夫が55歳以上60歳未満で、子どもなし場合。

夫に遺族厚生年金(60歳以降に支給)

・夫が55歳未満で、子どもがいる場合(18歳になった年度の末日までの子ども)。

夫に遺族基礎年金、子どもに遺族厚生年金(子どもが18歳年度末で終了)

・夫が55歳未満で、子どもなし場合。

ありません。

妻が死亡すると家計への影響は大きい

逆に夫が亡くなって妻が残された場合には、手厚い遺族年金があります。遺族年金では、夫と妻では大きな差があります。夫と妻の収入が同じような場合には、妻の死亡したときには、保障が少ないというのがわかりますね。こう考えると、妻の死亡の方が影響は大きいかも知れませんね。

子どもがいて夫だけが残された場合、ベビーシッター代がかかったり、残業ができなくなると言うと、収入減にもなってきます。もし、妻の収入が無くなっても、どのくらいあれば家計を維持できそうなのかを考えて、保険を検討してはどうでしょうか。

共稼ぎ世帯の妻の賢い保険の入り方

共稼ぎ世帯は、収入がゼロになってしまうわけではありませんから、専業主婦世帯よりも高額な保障は必要ありません。ですから保険を考える場合には、定期保険か収入保障保険で対応するという方法を検討するのもいいかもしれません。

保障期間は、子どもが成人するまでの期間を収入保障保険に加入する。または、配偶者は年金を受け取るまでの期間を定期保険に加入するという使い方をするのが賢いと思います。

たとえば、40歳の女性の場合、どのくらいの保険料なのかというと、次のようになります。

・収入保障保険の場合は、年金月額10万円、65歳満了で、月額約3000円で入れます。
・定期保険の場合は、死亡保険金1000万円、65歳満了で、月額約2500円で入れます。

これくらいの金額だとそれほど大きな負担にはならないのではと思います。夫とともに妻の保険も検討してみてはいかがでしょうか。

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