なぜ中日柳はプロ初3被弾した? 元コーチが指摘「足を上げた瞬間カーブだと…」

中日・柳裕也【写真:荒川祐史】

中日の連勝は4でストップ、一夜でBクラスに転落

■ヤクルト 7-3 中日(20日・神宮)

中日は20日、敵地の神宮球場でヤクルトに3-7で逆転負けを喫し、連勝は4でストップした。先発の柳裕也投手がプロ4年目で初の1試合3本塁打を浴び、5回途中4失点(自責点2)で今季3敗目。元オリックス監督で、柳が入団した2017年から2シーズン中日でコーチを務めた森脇浩司氏は、ダメ押しにもつながる3発目を許した「失投」を指摘する。

立ち上がりから毎回走者を背負う投球が続いていた柳。それでも森脇氏は「ストレートにはキレがあって、変化球もある程度コントロールされていた。打席でも4回に自ら2点目となるタイムリーを放ち、気迫十分だと感じていた」という。丁寧に内外角を使いながら、カットボールやシンカーで打者の的を絞らせない組み立てだとみていた。

ただ、2点リードの4回に野手の失策で走者を一塁に背負い、1番・坂口智隆外野手に同点2ランを被弾。直後の5回には先頭の3番・青木宣親外野手に勝ち越しを許すソロを浴び、さらに1死を奪ってから5番・西浦直亨内野手に初球のカーブを左翼スタンドに運ばれた。プロ初の1試合3被弾。この3発目に対し森脇氏は「もったいない」と言う。

「テークバックした瞬間にカーブだと…思わず『アッ』と声が出た」

「まずは西浦の積極的かつ的確なバッティングを褒めたい。しかし、足を上げ、テークバックした瞬間にカーブだと分かった。映像で見ていて、思わず『アッ』と声が出た。初球に緩いボールを投げる時こそ、真っすぐと同じように投げるんだという意識を忘れてはいけない。ただ、あの1球だけは緩んでしまった」

この直後に柳は降板。継投した岡田俊哉投手も制球が安定せず、この回5点を奪われて試合が決まった。柳の性格やプレー姿勢を知る森脇氏は「繊細な部分まで気を配り、投球以外の部分でも非常にタフなピッチャーでもあるだけに、柳らしくない部分が出てしまった」と分析する。

柳は3年目の昨季にチーム最多の11勝を挙げ、右のエース候補に成長。今季は7月に右腹直筋の筋挫傷で出場選手登録を抹消され、およそ1か月後に1軍復帰を果たしていた。チームが今季初の4連勝と勢いに乗る中で託されたマウンドで、一発攻勢に泣いた。

前夜に3位浮上していたチームは、わずか1日でBクラスに転落。21日から本拠地のナゴヤドームに戻り、DeNAとの3連戦を迎える。中日の現状について森脇氏は「以前からバッテリーの整備が出来れば必ず優勝争いすると見ている。どのチームも課題は抱えている。ビシエド、(大島)洋平が健在で(高橋)周平、阿部が一本立ちした打線はリーグ上位だ。そこに隙のない走塁が習慣付けばもっと脅威になるだろう」と強調。加えて、4カード連続で勝ち越しと上昇気配が漂っていることも挙げ「一気呵成に攻め込む勢いと勝負所での粘りは頼もしい限り。主観になるが、成長した選手たちを見ると胸が熱くなった。勝負はここからだ。ファンの思いに応えるべく、逆襲の実現を期待したい」と話した。(小西亮 / Ryo Konishi)

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