長崎県庁跡地の石垣遺構 「奉行所の姿が見え始めた」と専門家

出土した石垣遺構の上部を視察する専門家ら=長崎市、県庁跡地

 江戸時代の長崎奉行所などが置かれていた長崎市江戸町の県庁跡地で23日、県が委嘱している外部の歴史専門家2人が、新たに出土した高さ6~7メートル、長さ約60メートルの石垣遺構を視察。「奉行所の当時の姿が見え始めてきた」などと同遺構の価値を評価した。
 同跡地には江戸期の禁教令前まで国内キリスト教の拠点「岬の教会」があり、明治期以降は歴代県庁舎が立っていた。見つかった石垣は、4代目県庁舎(1953年完成)の建設に伴い埋め立てられ、県教委が進めている埋蔵文化財調査で先月までに、約70年ぶりに全体が掘り出された。県教委は、石垣の最下部が江戸初期に築造され、その後も長年にわたり補修しながら使用されたとの見方を示している。
 調査は同跡地の活用に向けた一環で、昨年度から実施。県は遺跡の保存・活用の参考にするため、昨年度から3人の外部専門家に意見を聞いている。23日はこのうち、元文化庁調査官の服部英雄くまもと文学歴史館長、石垣専門家で「石垣技術研究機構」(佐賀市)の高瀬哲郎代表が訪れた。
 2人は担当者の案内で、約1時間にわたり石垣遺構や周辺を視察。終了後、報道陣の取材に応じた。服部氏は「石垣は奉行所の“顔”であり、将来に残して皆さんに見てほしい」、高瀬氏は「すばらしい石垣で歴史を感じられる。さらに調査、検証が必要」と語った。

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