ハイビームを素早く点灯させて、対向車や先行車に合図を出す「パッシング」。道路上ではあたりまえのように使われるドライバー同士のコミュニケーション方法であり、さまざまな使われ方がありますよね。その中の1つに、同じシチュエーションにもかかわらず、意味が正反対なパッシングがあるのをご存じでしょうか? 理解の相違によってヒヤリとするかもしれない事例や、あわせてよく使われる場面や状況をご紹介しましょう。
交差点での“ゆずり合いパッシング”でヒヤリ
交差点で右折をしようと右ウインカーを点滅させて待っている際、対向車にパッシングをされたとします。あなたはどうしますか?
対向車に譲ってもらえたと認識し、右折する人が多いかもしれません。
しかしTwitterでの投稿には、「対向車にパッシングをされたので、譲ってくれたと思って右折したら強くクラクションを鳴らされた」「交差点を進行中、右折待ちをしている対向車が邪魔な位置にいたのでパッシングをしたら、譲られたと勘違いして突っ込んできた」という声が見られました。
このように、交差点時のパッシングについては明確なルールとして決まっておらず、「お先にどうぞ」だけではなく「お先に行かせて!」という意味の場合もあるため、対向車に意思が正しく伝わっていないという例もあるようです。
相手の意思はどうやって判断する?
状況によってパッシングの意味が異なってくるため、判断が難しいことがあります。ではどのように判断したらよいのでしょうか?
状況:相手が完全停止している時、相手からパッシングをされたとき
→「先に行って良い」という意思表示の可能性が高い
状況:相手がすでに動き始めていて、こちらも動こうとしたとき
→「こちらが先にいく」という意思表示の可能性が高い
このように、パッシングを受けた際は相手の様子を見てから判断することが大切です。
そして困ったら慌てずに様子を見ましょう。そして譲ってもらえたと判断した際は、慌てず徐行して通過するなど、安全を優先して運転すること。もし右折を譲ってくれたとしても、対向車の陰から路肩を走り抜けてきたオートバイや自転車が不意に直進してくる場合もあります。くれぐれも慎重にいきましょう。
よく使われるパッシングの意味
交差点でのゆずり合い以外にも、パッシングには複数の意味があり、場面や状況で使い分けます。そもそもどういう場面でパッシングを利用するのかを知っておくことで、意思疎通が上手くいく可能性は高くなります。それでは実際に使われるもののなかで、代表的なものを紹介しましょう。
1:感謝を伝えるとき
進路を譲ってくれた相手に感謝を伝える
2:対向車にお知らせ・注意をよびかける
夜間でヘッドライト未点灯や一方通行での逆走、死角に歩行者がいるなど、危険を知らせるため
3:譲る・先に行く意思を伝える
交差点の対向車や合流しようとする車両に「お先にどうぞ」「先に行きます」を伝える
もともとは「道を譲れ」の意味だったが・・・
パッシングの語源は、前を走っている車に対して「先に行きたいので道を譲ってほしい」という“Passing”から来ています。
そのため、高速道路の追い越し車線を走っている時に、後続車からライトをチカチカと照らされ「どいてくれ」というアピールをされたことがある人もいるのではないでしょうか。
このほか、急な割り込みなどに対して、前走車に「危なかったぞ」と抗議をするためにも使われることもありますが、これらはあおり運転と受け取られる場合もありますので、使用を控えたほうが良いでしょう。
パッシングは便利なコミニケション方法ですが、状況を読み取る力や経験が必要となります。相手がどのような意味でパッシングをしているのか分からない場合は、慌てず確実な選択肢を取るように心がけましょう。