時短勤務からフルタイムに復帰したら、学童保育費などで赤字に「でもどれも削れない」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、38歳、会社員の女性。第二子が小学校に上がったのでフルタイムに復帰したら、学童保育や家事代行費用で毎月赤字が出るようになってしまったと言います。支出はどれも必要で、削る費目がわからないと言いますが…。FPの横山光昭氏がお答えします。

今までは時短勤務をしていましたが、下の子が小学生になったので、フルタイムに復帰しました。職場には今まで迷惑をかけたので、その分しっかりと働こうと思い、毎日残業をし、出張にも応じています。

私の帰宅時間が遅くなり、夫も帰宅時間が遅いので、親が不在の時間は子どもは学童保育に行っています。学校の近くにも学童保育があったのですが、兄弟だけで帰宅しなくてはいけません。帰宅時間が遅くなることを見込み、夜は夕食を食べさせてくれ、帰宅時は自宅まで送ってくれる、英会話教室のついた民間の学童保育に行かせています。限度の時間は22時までなので、もしもの時も安心です。

利用料が無認可保育園ほどかかるのが難点ですが、子どもの安全のためには仕方がないと思っています。

また、フルタイムで働き始めると今までできていた家事ができなくなり、週に1~2度、家事代行の方に手伝ってもらっています。買い物する時間も上手く作ることができず、夜中にネットスーパーで注文をしています。

仕事で暮らし方が変わったので仕方がないと受け止めていますが、時短勤務の時は毎月10万円ほど貯金に回すことができていました。それなのに、今は赤字を出しています。収入が増えてもこれではいけないと、お金のことを考えると落ち込みます。

どれも生活のために必要だと思うので、自分ではカットできそうな支出を見つけられません。どのようにやりくりするとよいでしょうか。

【相談者プロフィール】

・女性、38歳、会社員

・同居の家族:夫(43歳、会社員)、長男(小3)、長女(小1)

・毎月の手取り収入:相談者32万2,000円、夫41万1,000円

・年間の手取りボーナス:相談者約60万円、夫約100万円

・貯金:530万円

・毎月の支出の目安:77万3,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(家賃+管理費):17万8,000 円

・食費:9万6,000 円

・水道光熱費:2万3,000 円

・通信費:2万1,000 円

・生命保険料:2万6,000 円

・日用品代:1万6,000 円

・教育費:14万5,000 円

・被服費:2万6,000 円

・交際費:1万8,000 円

・こづかい(夫婦で):13万円

・家事代行:3万8,000 円

・その他:5万6,000 円


横山:フルタイムで働き始めたら、新しい支出が増えて赤字になったということですね。収入が上がると、支出も増えることは多々あることです。ある程度は止むを得ないことかだとは思いますが、家計が慢性の赤字ではよろしくないですね。せっかく頑張っているのですから、何とか家計をコントロールさせていかないとなりませんね。家計状況を拝見すると、増えた支出だけが赤字の原因になっているわけではなさそうです。黒字化するにはどうしていくべきか、考えていきましょう。

必要な支出ができたら、それ以外を下げることが、やりくりの鉄則

フルタイムになり、お子さんの学童保育代、家事代行代が大きく増えました。当然のことですが、こちらの支出の優先度が高いのであれば、それ以外の支出を下げなければ、支出は増えていくばかりです。

支出状況を見ると、全体的に支出が多めになっており、メタボ家計といえます。本気で赤字を改善したいのであれば、漠然と支出を減らせないと嘆くのではなく、具体的に減らせる支出を見つけることをしていくしかないのです。

減らせる支出を見つけるために、支出に優先順位をつけていくのです。一番大切でお金をかけたい順に支出を並べてみるのです。そうすると、後方にある順位の低い支出は、必ずしもいつも支出する必要がないと気が付くはずです。お金をかける必要がある時もありますが、それは毎月ではない。そのような支出ではないでしょうか。

もしくは、単に惰性で意味もなく払い続けているお金かもしれません。例えば、今月は行くといいながら全然行っていないスポーツジムの会費とか、気が付いたらいくつも入っていた動画のサブスクとか。見直すと気が付くこともあるでしょうから、いちど優先順位付けをご夫婦、ご家族でやってみましょう。

こづかいに何を含むかを検討する

支出の中で、こづかいがかなり大きな割合を占めています。収入の約2割ほどです。一般的には、収入の1〜1.5割ほどが理想的ですから、多めであることがわかります。支出が増えている状況ですから、こづかいの金額が妥当でなければ見直しをすべきです。そのため、どのような支出を含めて「こづかい」とするのか、ルールをきめ、金額を設定しましょう。

こづかいは基本、自由に使って良いお金です。ただ、ご家庭の考え方により、そのなかに生活費を含めることがあります。含めるのはランチ代、飲み会代、たばこ代、クリーニング代、理美容代などさまざまです。その場合はその生活費に、趣味などに自由に使いたい金額を加えてこづかい額を決めていきます。

もしいま、相談者さんご夫婦のこづかいの中に生活費が含まれていないのであれば、こづかいを減らすことで増えた支出をカバーすることを検討して良いと思います。もし生活費が含まれているのなら、家計で重複している支出を減らすことを検討していきましょう。

家計からも、こづかいからも支払っているものがあると、支出が多くなって当たり前です。家計で負担している支出をこづかいの範囲で賄うように工夫する、という風にしても良いと思います。少しやりくりを検討してみましょう。

夫も家事や家計管理を一緒に

相談内容から、夫が家計にも家事にも介入していないように感じます。家計管理はどのようにしているでしょうか。こづかいの状況から見ると、財布は1つになっているけれど、家計管理は妻任せ、という感じでしょうか。

財布をいくら一つにしても、夫婦でお金の話ができていなければ、お金が貯められる家計は作れません。夫が面倒がっても、お子さんの学童保育や家事代行にかかる支出が増えたことにより、家計がどのように変わっているのかなど、話し合うようにしましょう。負担が大きく、収入内で暮らせないことがわかると、夫も支出をどう減らすか、一緒に考えてくれるかもしれませんし、節約にも協力してくれるかもしれません。

また、家計同様に家事育児も相談者さん一人に任せきりのように感じます。分担まではいかなくとも、協力してもらえそうな部分を相談し、実際に手伝ってもらえると、相談者さんも時間にも心にもゆとりができ、今よりも家計と向き合えるかもしれません。

生活の仕方が変わると、支出の仕方も変化します。それに適応して上手くやりくりしていけるよう、ご夫婦で話し合っていきましょう。お子さんが小さく、見守りや手をかけることが必要な期間も数年です。乗り越えていただきたいと思います。

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