リノベーションの見積もりの取り方とは?見積書の見方やポイント、相見積もりを取る際の注意を解説

自宅をリノベーションする際、安心して依頼できる業者を選ぶために欠かせないのが見積もりです。ただ、見積もりの依頼方法や判断基準を間違えると、適切ではない業者を選んでしまう可能性があります。今回は、理想のリノベーションを実現するための見積もりの取り方や、相見積もりの注意点、見積書で見るべきポイントなどを紹介します。

リノベーションの概要と費用相場

リノベーションとは、「刷新」や「革新」などを意味することばです。和室から洋室への造り替えや間仕切り壁を撤去する間取りの変更など、住居全体をデザインし直す工事を行う場合にリノベーションと呼びます。

空間を包括的に捉え、生活動線の改善や建物の強度など、住宅の価値を向上させることを目的としている点でリフォームと異なります。ひと部屋だけやある設備だけといった部分的な改修ではなく、全体のデザイン的な統一感も意識するのが特徴です。

リノベーション工事費用は数百万~1000万円程度

リノベーションの工事費用は、数百万~1000万円ほどかかる傾向にあります。また、工事期間については、設計と工事を合わせて5~6カ月程度かかるのが一般的です。現在の住居に不満を感じていて、住まい全体をデザインし直し使いやすくしたい、よりおしゃれで統一感のある自宅にしたいといった場合には、リフォームではなくリノベーションが適しています。

リノベーションとは何かもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

リノベーションの意味とは?リフォームとの違いを解説。おしゃれな施工事例を紹介

リノベーションの見積もりを取るまでの流れ

上記の通り、リノベーションは費用が高額になる傾向にあり、事前の見積もりが重要です。見積もり依頼することで、費用や工事期間の概算だけでなく、その会社を信頼できるかなどがわかります。リノベーションを考えているのであれば、必ず事前に見積もりを取りましょう。

ただ、正しい流れに沿って見積もりを依頼しないと、会社の良し悪しを判断できません。こちらでは、リノベーションの見積もりを取るまでの流れについて、3つのステップに分けて紹介します。

業者選び

最初にリノベーション会社を複数ピックアップします。過去に依頼したことのある会社や人から勧められた会社がある場合を除いて、インターネットで地域のリノベーション会社を検索してみましょう。

気になる会社をいくつかピックアップしたら、ホームページから会社の強みや特徴、サービス、コンセプトなどを確認しましょう。あわせて過去の実績を確認し、依頼しようと考えているリノベーションに強いかなどを把握しておくのがおすすめです。

安さを売りにした会社には注意

ホームページには価格の目安も記載されていますが、「格安」など安さのみを売りにしている会社には注意が必要です。工事費用が他社よりかなり安い場合、本来必要な工事が記載されていなかったり、極端な例では手抜き工事が行われたりする可能性があります。リノベーションは今後の住まいの快適さを決める重要な工事です。費用だけでなくさまざまな要素を考慮して、依頼する会社をピックアップしましょう。

希望の施工プランを立てる

リノベーション会社をいくつかピックアップしたら、次に希望の施工プランを考えましょう。プランを具体的に決めておけば、見積もり時の金額と実際の金額の幅を小さく抑えられます。さらに費用の幅が小さくなることで、各社を比較しやすくなります。施工プランを立てるうえで重要なのが、以下の6つの要素です。

  • 間取り
  • 平米数
  • 壁や床の素材
  • キッチンのグレード
  • 浴室のグレード
  • 特注品や造作の有無

なかでも、キッチンやお風呂のグレード、特注品の有無はリノベーション費用に大きく影響します。事前にメーカーのホームページを確認し、グレードごとの金額を把握しておきましょう。

「造作」とは、既製品を導入するのではなく、ゼロからキッチンやロフト、防音室などを作る方法です。理想のリノベーションを実現するにはイメージの共有が重要となるため、先方に伝えられるようイメージ図や写真などを用意しておくとスムーズです。

施工プランについて具体的な案が思い浮かばない場合は、定額制のリノベーションを提供している会社を選ぶのもひとつの方法です。費用の上限がある程度決まっているため、予算さえ決めておけば安心して任せられます。

見積もり依頼

リノベーション会社のピックアップと理想の施工プランが決まったら、見積もりを依頼しましょう。Web上で見積もりをできる会社もあれば、現地を訪れてヒアリングを行う会社もあります。連絡を取ると担当者から今後の流れや必要書類に関する情報を提供してもらえます。

見積もりの依頼時にまだ物件を購入していない場合は、購入予定の物件の間取りを不動産会社に頼んでコピーしてもらい、担当者に渡せるようにしておきましょう。物件が決まっていないのであれば、物件購入のあっせんを行っているリノベーション会社に依頼するのも選択肢のひとつです。リノベーションの見積もりには2種類あり、この段階で依頼して提示されるものを「概算用見積もり」と呼びます。以下では、2種類の見積もりについて詳しく解説します。

【概算用見積もり】おおよそのイメージで作成する

リノベーションの依頼前に提示してもらう見積もりを「概算用見積もり」と呼びます。依頼者は理想のリノベーションのイメージを伝え、リノベーション会社は必要な費用の目安を提示することで、両者のマッチングを図ります。

あくまでおおよそのイメージで作成するため、最終的に支払う金額と差が生じることも少なくありません。費用の差を最小限に抑えるためには、希望の施工プランをできるだけ具体的に伝えることが大切です。

【最終用見積もり】打ち合わせ後に作成される

リノベーション会社を1社に決め、打ち合わせを行った後に作成されるのが「最終用見積もり」です。具体的な金額と設計プランを確定させるために作成されるもので、依頼者はここに記載された金額を最終的に支払います。

リノベーションは実現する間取りやデザイン、設備のグレードに応じて工事内容が変化するため、依頼前に詳細な見積もりを作成するのは現実的ではありません。実務では、会社を選定した後に最終用見積もりを提示するのが一般的です。概算用見積もりの段階では依頼者側も具体的なイメージを持っていないことも多く、詳細な見積もりを出すのが難しいという一面もあります。

リノベーションの相見積もりを取る際の注意点

特定の1社だけから見積もりをもらっても、費用や工事内容の比較ができず、損をしてしまうことも。そこで、概算用見積もりを依頼する段階では、複数社ピックアップして相見積もりを取るのが重要です。こちらでは、相見積もりを依頼する際の注意点を解説します。

比較検討は最低3社から

1社の見積もりだけで価格や工事内容を判断すると、相場より高額な費用で契約してしまったり、本来必要のない工事を依頼したりするリスクがあります。予算を超えた場合の値引き交渉も比較対象がないため、どの金額が他社より高く交渉の余地があるのかが判断できません。

リノベーションの見積もりを取る際は、最低でも3社に依頼して比較検討することが大切です。複数社から見積もりを取ることで、費用だけでなく工事内容や期間など、さまざまな点を比較しやすくなります。インターネットや口コミで情報を集め、見積もりを依頼する会社を絞り込みましょう。

何社も取りすぎるのはNG。最高5社までを目安に

複数社から見積もりを取る場合でも、多ければ多いほどいいというわけではありません。見積もりを依頼する場合、電話や対面など形式に違いはあるものの、何らかの打ち合わせを行ったうえで提示してもらうのが一般的です。多くの会社に依頼すると、それだけ打ち合わせに時間が必要となり、その他の準備に時間を割けなくなります。

さらに、打ち合わせを多く行いすぎると依頼内容にばらつきが出てくる可能性もあり、正確な比較ができなくなります。リノベーションの見積もり依頼は、最低3社、多くても5社程度にとどめておき、イメージを共有するために各業者と時間をかけて打ち合わせを行いましょう。

条件は統一して依頼する

複数社から見積もりを取る際は、条件を統一して依頼しましょう。せっかく相見積もりを取ったとしても、条件が違っていては正確な比較ができません。条件を統一して相見積もりを依頼することで、価格や工事内容など各社の違いが明確になります。

設備や建具などは同じものを設定する

設備のグレードや建具なども各社同じものを設定しましょう。材質の違いや塗装の有無、種類などに応じて金額に大きな開きが生じます。ただし、金額はあまり重要視しておらず、理想のリノベーションを実現するためのプランを見つけたいという場合は、基本条件だけ伝えて自由にプランニングしてもらうという方法もあります。

金額だけを検討材料にしない

相見積もりでは、費用面だけを比較しがちですが、金額だけでリノベーション会社を決めるのはおすすめしません。既製品を購入する一般的な買い物とは異なり、オーダーメイドで依頼するリノベーションは、各社の間取りやデザインが異なり金額だけでは決定的な差を見つけられないためです。

無料ではない可能性がある

図面作成やプランニングまで提示する会社では、見積もりが有料のケースもあります。後々のトラブルとならないよう、依頼前に見積もりに費用が発生するか確認しましょう。

他社の見積もりを見せるのはマナー違反

他社の見積書を見せることで、より安い金額を引き出そうと考える方もいるかもしれません。しかし提示された見積書の内容を他の業者に見せるのはマナー違反と捉えられることがあります。

見積書は依頼者へのヒアリングや社内のミーティングなど、さまざまな過程を経て作成されます。今までの経験で培われたノウハウが詰まったものが見積書、といっても過言ではありません。それをライバル会社に見せられてしまうと、ノウハウが流出するだけでなく、信頼関係も築けなくなってしまいます。

相見積もりを取ると契約時に人件費が上乗せになる

相見積もりを取ると、実際の契約時には一定の割合で費用が上乗せされます。相見積もりの勝率は3~5割といわれており、そこに費やした人件費をリノベーションの工事費用に上乗せしなければ、会社の利益にならないためです。

見積書の見方とポイント

実際に見積書を見る機会はそれほど多くありません。どこに着目すればいいのか、どんな点に注意して見るべきかは、初見ではなかなか判断できないもの。そこで、以下ではリノベーションの見積書を見る際のポイントを解説します。

「一式」「諸経費」などの曖昧な内訳は必ず内容の把握を

見積書の形式は業者ごとにさまざまで、なかには「一式」や「諸経費」などの曖昧な表現が多く使用されている見積書もあります。これでは工事内容やどこまでの金額が含まれているかなどが判然としません。実は割高な金額だったり、必要な工程が別料金となっていたりする可能性も。見積書に曖昧な表現が使用されている場合は、契約を結ぶ前に必ず内訳を確認しましょう。

有効期限・押印・日付をチェックする

見積書には、2週間~6カ月の有効期限が設定されているのが一般的です。見積もりの金額には期間限定で設定されているものや、キャンペーン価格が適用されている場合があるためです。見積書に記載された日付や押印をもとに有効期限が判断されるため、忘れないよう控えておきましょう。

保障内容を確認する

リノベーションの成否は、今後の住まいの快適さに大きな影響を与えます。万が一トラブルや不具合が発生した場合に備えて、アフターサービスも含めた保障の有無を確認しましょう。見積書に記載されていないことも多いため、自ら業者に尋ねる必要があります。

要望がどの程度反映されているか

見積書では、事前に伝えた要望がどの程度反映されているかも必ずチェックしましょう。同じ要望を伝えても、それを叶えるためのプロセスやアイディアが異なることもあるため、担当者から説明を受けることが大切です。説明を受けて納得感や安心感を得られるかどうかなど、総合的に考慮してリノベーション会社を決定しましょう。

見積もりが出るまでの期間

見積もりの依頼から実際に提示されるまでの期間には、会社や工事内容によって違いがあります。簡易的なリノベーションであれば5日程度、間取り変更を伴うような大がかりな工事の場合は1カ月程度かかることも珍しくありません。リノベーションのイメージが詳細に固まっている場合ほど、依頼者の要望に対して具体的な見積もりを出す必要があるため、日数がかかる傾向にあります。

1カ月以上経過してもとくに連絡がなく、見積もりが出ない場合は、リノベーション会社に催促する意味も含めて連絡を取りましょう。連絡がないことは信頼性に欠ける行為ともいえるため、工事を依頼すべきかどうかを含めて検討する必要があります。

中古マンション・古家のリノベーション費用相場

近年は、リノベーションを前提として中古物件を購入する方も増えています。こちらでは、リノベーション費用相場を紹介します。

中古マンション2DKのケース

2DKの中古マンションをリノベーションする場合、間取りの変更を伴うかどうかで費用が変わります。2DKの間取りを変更しない場合、壁の撤去費用が不要なため、比較的安価にリノベーション可能です。費用相場は、室内の全面塗装、フローリングの張替え、キッチン・ユニットバスの交換などを行って、80万~100万円です。

一方、間取りの変更を行う場合は、大規模な工事になるため、費用も高額になる傾向があります。2DKから1LDKへとリノベーションする場合、費用相場は500万円を超える可能性があります。

古家のケース

築年数の経過した一軒家を購入し、丸ごとリノベーションする方法も人気です。ただ、基礎部分の強化や経年劣化した部分の修繕、断熱工事などを行う必要があり、費用は高額になります。築40年の古家をリノベーションした場合、1500万~2000万円が費用相場です。設備のグレードを上げると、さらに高額になる可能性も考えられます。

リフォームのほうが安く、早く済むことも

リフォームは本来、「原状回復」や「設備の交換」などを意味することばです。あくまで、設備を交換したり経年劣化した部分を修繕したりすることで新築の状態に近づけるだけであり、空間全体のデザインなどは重要視しない点がリノベーションとの違いです。

リフォームで設備の交換を行うだけであれば、10万円前後の費用で済むケースも。ただ、住居の大部分を変更するとなると数百万円かかる大がかりな工事になることもあるので注意が必要です。工事期間は、1~2日で完了するものもあれば、2カ月程度必要な工事もあります。

短期間であまり費用をかけずに設備を新しくしたい場合には、部分リフォームという手段もあります。部分リフォームであれば費用と工期を削減できるため、手軽に施工したい方にはおすすめです。

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