グラバーと長崎 歴史紹介のVR公開

グラバーの息子の富三郎(右)が、グラバーが日本で初めて大浦海岸で汽車を走らせたことを紹介する一場面(グラバー園提供)

 国指定重要文化財・旧グラバー住宅を含むグラバー園(長崎市南山手町)は、江戸時代から戦後にかけて長崎の町並みを撮影した白黒写真などをコンピューター技術で映像にし、日本の近代化に貢献した英国人貿易商トーマス・グラバーの功績や長崎の歴史を伝えるVR(仮想現実)映像「グラバー家の人々」を制作した。今月から一般公開している。
 同園は新たな観光産業にしようと、米ニューヨークなどで活動するVR映像制作会社と共同で1月に制作を開始。長崎総合科学大教授で、同園の名誉園長のブライアン・バークガフニ氏がグラバーに関する史実など全面監修した。長崎大図書館などが所蔵する旧グラバー住宅や大浦地区の風景などを映した白黒やカラー写真約50枚を参考に、10枚程度の写真をつなぎ合わせることで、映像内の風景を360度見渡せ、その場にいるかのような感覚が味わえる。約10カ月かけて仕上げた。
 映像は約13分。高さ約10センチ、幅約20センチの電子ゴーグルで観賞する。映像にはグラバーの長男、倉場富三郎が案内人として登場。グラバーが初めて汽車を日本に持ち込み大浦海岸で走らせたことや、のちのキリンビールの前身となる会社の設立などを写真と汽車の音などを交えて紹介している。
 報道陣に映像を公開した際、バークガフニ名誉園長は「長崎をこれまでとは違う角度で知るきっかけにできる。長崎の新たな観光産業の力になると期待している」と力を込めた。
 映像観賞は500円。午前10時から午後5時まで1日11回上映する。

VR動画を観賞する行政機関の関係者ら=長崎市、グラバー園

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