十八親和銀 減収増益 合併前合算比較で黒字転換 9月中間決算

中間決算を発表する森頭取(右)と吉澤会長=長崎市、十八親和銀行本店

 十八親和銀行(長崎市)が12日発表した2020年9月中間決算は、売上高に当たる経常収益が325億円、純利益が27億円だった。旧十八銀行と旧親和銀行の単純合算で、合併前だった前年同期と比べ4億円の減収、72億円の増益となり、赤字から黒字に転換した。
 会見した森拓二郎頭取は「統合コストがかさむ中での黒字達成は一定評価できる」、吉澤俊介会長は「新型コロナウイルス下でもまずまずの成績を出せた。既に4月から一つの銀行のように取り組んできたので(10月に合併し)順調なスタートを切れた」とそれぞれ述べた。
 本業のもうけを示すコア業務純益は前年同期比8億円減の44億円。日銀のマイナス金利政策で貸出金の利回り低下が続いたほか、市場低迷で国債投資を控えたため有価証券利息も減少。これが減収の主因となった。
 貸出金残高は11.2%増の4兆3522億円。財務省向けが伸びたが、利回りはゼロに近い。法人向けは合併条件となった他金融機関への借り換え(債権譲渡)実行時から回復した。
 コロナ関連融資は約5千社に対し約1千億円を実行した。森頭取は「ピークを過ぎてほぼ落ち着いてきた。年明けすぐに再び増えるとは想定していないが、返済猶予も含め一社一社の状況に応じて事業継続を支援していく」とした。
 親会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)が景気後退局面に備えて貸倒引当金の見積もり方法を保守的に見直していたが、取引先の倒産が少なかったため、引当金を戻し入れ、信用コストを圧縮できた。さらに、前期のうちに店舗統合に備え固定資産の減損処理をしていた分、反動で今期の利益を押し上げた。これに伴い21年3月期の業績予想は、純利益を5月公表時より20億円多い22億円に上方修正した。

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