「老後資金が足りない」と感じる60代の9割が後悔していること

前回記事「理想と現実の貯蓄額の差は60代で最も大きくなるという過酷な現実」では、様々な世代が考える貯蓄に関する思い、目的などを紹介しました。特に多かったのが、「老後への蓄え」のための貯蓄です。今回は、この「老後」についてのデータにフォーカスします。

データは松井証券が実施した全国の子どもと親のいる20~60代の男女合計800名を対象にしたインターネット調査によるもの。多くの人が考える「老後とお金」のイメージを可視化したデータを見ていきます。


どの世代にも「老後への不安」を抱いている

「あなたは老後に不安がありますか?」というアンケートのデータが下記の2つです。「不安がある=43.1%」、「やや不安がある=40.5%」と、全世代の8割以上の回答となっています。

全世代とも、8割以上の人が老後に不安を感じている結果に(松井証券株式会社調べ)

世代ごとの詳細なグラフ。老後への不安を覚えるのは、どの世代もほぼ等しいことをグラフが表しています(松井証券株式会社調べ)

さらに、老後の何に不安を抱いているかの回答も見ていきましょう。想像通り、圧倒的1位はやはり「お金」でした。

老後の資金が不安という人はこんなに多い

「老後の何に不安を抱えてる?」のアンケート(松井証券株式会社調べ)

1位は、「老後の資金=79.5%」と約8割の人が回答しています。また、2位は「老後の健康維持=53.1%」で、体を壊した際には治療費がかかるため、この点もお金と連動する不安のように映ります。

他方、3位以下は、「老後の夫婦関係=27.7%」「社会との繋がり=22.6%」「娯楽=15.5%」「交友関係=12.6%」と続き、お金に関わってくるものとはまた違う不安要素がランクしました。

60代の9割以上が「貯蓄だけでは老後資金が足りない」と思っている

さらに、60代で「老後の資金に不安を抱えている」と回答した人に対し、「現在の貯蓄だけでは老後資金が足りないと思うかどうか」を尋ねました。なんと9割以上の人が「貯蓄だけでは老後資金が足りない」と答えました。

「貯蓄だけでは老後資金が足りないと思う60代」、「事前にやっておけば良かったこと」のデータ(松井証券株式会社調べ)

老後資金が足りないと思う60代のうち「そう思う=67.9%」「ややそう思う=23.5%」と、9割以上の人が「現在の貯蓄だけでは、老後の資金が足りない」と感じていることが明らかに。

さらに「事前にやっておけば良かったこと」としての1位は「資産形成・運用」で、特に「40代でやっておくべきだった」という人が大半をしめました。

一般的なサラリーマン家庭では40代が最も稼げる世代とも言われています。同時に、子育てや教育費などでお金が出たり入ったりと、慌ただしい世代でもあります。こういうときにこそ、きちんと資産形成や運用を意識し、お金のマネジメントをしっかり行っておくと、老後の不安が軽減され、後の後悔に至らないように感じました。

金融庁発表の「老後資金2000万円」は国民も同様に考えていることだった!?

ところで、今年6月、金融庁では「人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書」を発表しました。「95歳まで生きるためには夫婦で約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」という試算です。

発表以降、各方面で「2000万円なんてお金は準備していない」「いや2000万円どころじゃ足りない。もっとかかる」など物議を醸し出しました。では実際に多くの人は「老後のために必要だと思う資金」としていくらくらいをイメージしているのでしょうか。回答も見てみましょう。

「老後のために必要だと思う資金」のデータ(松井証券株式会社調べ)

なんと「必要だと思う資金」の1位は、金融庁発表と同じ「2000万円」という結果になりました。前回記事で紹介した「現実の世帯貯蓄額」は下記の通りです。理想の「老後資金2000万円」までにはどの世代も程遠いことがわかります。

・20代=100万円
・30代=300万円
・40代=350万円
・50代=500万円
・60代=1200万円

ただし、「必要だと思う資金」のアンケートに対して、「具体的な金額をイメージできている=13.9%」「何となくのイメージは持っている=52.6%」「分からない、考えたことがない=33.5%」という回答結果がありました。つまり、約3人に1人の割合で、「老後資金は心配だが、金額のイメージを持っていない」という状況も明らかになりました。

前述の金融庁発表の「老後資金2000万円」につられて、「なんとなく2000万円くらいあればやっていけるかな」と考える人が多いような気もします。もちろん、人それぞれ異なるライフスタイルにより、どれだけの老後資金が必要かは変わってきます。一方で、老後に必要になる金額をきちんと決めている人がいないようにも感じる結果でした。

結論! 40代の資産形成・運用・管理が重要

2回にわたってご紹介した「貯蓄アンケート」。これまでご紹介したデータから分かったことをまとめましょう。貯蓄を始めるのが早ければ早いほど良いのは当然ですが、現実的な取り組みには「最も稼げる40代における資産形成・資産運用」「お金の出入りが激しい40代の資産管理」を実現できるかどうかではないかと思いました。

これまでのデータ調べおよび発表をした松井証券では、「松井FP~将来シュミレーター~」という貯蓄にまつわる将来設計をシュミレーションするツールを無料で行っています。こちらもぜひ試してみてください。

これまで紹介したデータはやや怖くもありましたが、極めて現実的な結果が出たと思います。今後の「貯蓄」のイメージに参考にしていただければ幸いです。

「老後資金に関する調査」実施概要
・調査方法:インターネット調査
・調査時期:2020年9月
・調査対象:子どもと親のいる全国の20-60代男女、計800名(男性400名/女性400名)

※性年代均等割付
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります。

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