IoT.kyotoの、Vieurekaを活用したマスク対応顔認証入室管理ソリューション

株式会社KYOSOによるIoTワンストップサービス「IoT.kyoto」は、パナソニックが提供するViewrekaというプラットフォームを活用した、オフィスのドアの解錠を手軽に行うことができるソリューションを発表した。KYOSOは、京都に本社をおき、クラウドや通信サービスを駆使してこれまでも様々なIoT開発を行ってきた企業だ。今回、このソリューションを開発した、IoT.kyotoエバンジェリストの辻氏にお話を伺った。(聞き手 :IoTNEWS 小泉耕二)

手軽に顔認識ができるカメラプラットフォームVieureka

まず、Vieurekaについておさらいをする。Viurekaは、パナソニックが開発した、カメラを活用したIoTプラットフォームで、物理的なカメラだけでなく、ネットワークを介してクラウド上にデータを蓄積したり、APIを通してデータを取得し分析することができるサービスだ。

今回、辻氏は、自社の電子錠のついたドアに顔認識センサーとしてVieurekaを採用。これまでの解錠システムの問題点を解決するソリューションを開始したということだ。

これまでの解錠ソリューションの問題

辻氏によると、これまでの電子錠などを解錠するソリューションは、ほとんがオンプレミスのソリューションであったという。そのため、1つのドアの開閉を管理することは比較的簡単にできたが、複数のドアを管理しようと思うとできないものが多く、ロケーションが離れたところにあるものをクラウド上で一括管理するソリューションの場合、高額になることが多かったのだという。クラウド対応されていないソリューションの場合、セキュリティ等の問題でファームウエアをアップデートしようとした際も現地への訪問が必須となる。一方、昨今の勤怠管理システムやセキュリティ対策ソリューションはクラウド対応されているものも多く、それらに対応するには、解錠ソリューション自体もクラウド上で展開されることが必要となるのだ。

IoT.kyotoのVieureka顔認証ソリューション

そこで、辻氏は、まず自社のドアを使ってPoCを開始した。もともとKYOSO本社の従業員通用口では指紋認証で解錠をしていた。ボタン操作と指紋スキャンを含め10秒程度かかっていた解錠処理も、顔認識を使った結果、一呼吸くらいで開くようになり、社内の評判も良いということだ。テナントビルの都合で壁に穴を開けることができなかったため、ドアに穴を開け、「Vieureka用のPoEケーブル」「状態表示用のマイコン通信LANケーブル」「電子錠ユニットのためのケーブル」の3つのケーブルを配線したという。そして、Vieurekaで取得した顔画像を、Tensorflowで顔認識し、マスクの有無データを取得した後、画像と共にAWSにアップロードする。そして、AWSのAmazon Rekognitionサービスを活用し、本人確認をができたら解錠するという仕組みを実現したのだ。

マスク着用状態で顔認証されている様子(アイコンでマスク着用が明示されている)

もし、カメラの前に複数の人が存在した場合は、前方の人が認識されるのだという。他にも、いろんなパターンで顔認識のテストを行ったところ、色付きのマスクをつけている場合、判別精度が多少落ちるということがわかっているということだ。こうやって認証されたデータはすべてAWS上で格納されるため、認証履歴も残るし、監査対策にもなる。さらに、API連携をすれば、労務管理SaaSと接続することで、出退社の記録にも使える。

Vieurekaカメラ1台、iPad用Webアプリ管理画面、認証ログCSV出力機能がついて500,000円から購入することができる(ただし、設置工事などは別途必要)

今後の展開

マスクをつけていても顔認識ができ、鍵の解錠ができるという今回のソリューション。他の使い道については、例えば徘徊老人がいるような介護施設の場合、職員だけが通ることができるようなドアを作るということも可能だという。また、食品工場などのような衛生管理への徹底が必要な場面でも、顔認識という非接触での解錠ソリューションは必要になるだろう。一方課題としては、顔写真でも解錠してしまうので、重要な場所の鍵には使えないということがあるという。KYOSOのオフィスの場合、ビル全体の施錠としてはセキュリティ企業のカードを使っているというから、カードキーで入室可能エリアを区別していたような企業であれば、顔認識で開閉するなど便利な使い方が考えられそうだ。また、カメラ側で様々な処理ができる特性を利用し、顔とQRなどのコードを組み合わせた2要素認証を活用することで、より強固なセキュリティを実現することも可能になるとのことだ。非接触、マスクでの行動が求められる昨今では、こういった仕組みを手軽に始められることが重要なのだ。

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