観光活用、ブランド化を 鷹島海底遺跡 松浦市議会

鷹島海底遺跡の国会での議論について答える秋野参院議員(右)=松浦市議会議場

 長崎県松浦市議会の鷹島海底遺跡保存活用特別委員会は22日開き、鎌倉時代の蒙古襲来(元寇(げんこう))の元船2隻など数多くの遺物が出土している「鷹島海底遺跡」(同市鷹島町)の保存活用や水中考古学の未来をテーマに、参考人招致した秋野公造参院議員(公明)、琉球大の池田榮史(よしふみ)教授ら3人と意見を交わした。
 同遺跡のうち1隻目の元船が見つかった同町神崎沖の海域は「鷹島神崎遺跡」として2012年に水中遺跡で初の国史跡に指定されたが、その際、秋野氏は指定に向け尽力した。意見陳述では指定までの経緯を説明。「知見が蓄積され、元船引き揚げに向けた課題も解決されつつある」とし、今後の方向性や遺跡を観光、まちづくりに生かすため国の施策活用など具体的な手法について所見を述べた。
 長年、同遺跡を調査している池田教授は学術的な立場から同遺跡の価値や、天然糖質「トレハロース」を使った新しい保存処理技術について報告。「市が来年度実施する大型木製いかりの引き揚げは将来の元船引き揚げに向けたパイロット事業になる」と話した。
 もう一人の参考人、松浦商工会議所の稲沢文員(ふみかず)会頭は「遺跡を観光や地域活性化に活用するため、コンセプトや統一ブランドづくりなどで行政や各団体だけでなく、市民も巻き込み、一体となった活動が必要」と強調した。

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