2020長崎スポーツこの1年<3> プロバスケクラブ「ヴェルカ」誕生 B3参入へ急ピッチ

大勢のファンが見守る中、クラブ名「長崎ヴェルカ」が発表されたイベント=長崎市、JR長崎駅かもめ広場

 サッカーのV・ファーレン長崎に続くプロクラブが誕生した。10月末、通販大手ジャパネットホールディングス(佐世保市)のグループ会社「リージョナルクリエーション」が、男子バスケットボールクラブの「長崎ヴェルカ」を設立。来季のBリーグ3部(B3)参入へ向けて急ピッチで準備が進んでおり、それに伴って県内の“バスケ熱”も高まってきた。
 「ヴェルカ」はさまざまな人や文化を受け入れてきた長崎の「WELCOME」精神などにちなんだ造語。一般公募2324案の中から投票で選ばれた。10月末に長崎市で開かれた名称発表イベントで、同クラブの岩下英樹社長は「多くのみなさんが関わって、この名前に出合えた」と言葉に実感を込めた。
 ゼネラルマネジャー(GM)兼ヘッドコーチに就任したのは、Bリーグ元年の2016~17シーズンに日本代表の田中大貴(長崎西高出身)が所属するA東京を率いた伊藤拓摩氏。「選手もスタッフもB1レベルの“そうきたか”と思われるものにしたい」。38歳の指揮官は早くも理想のチームづくりに意欲を見せている。
 1回目のトライアウトも11月中旬に実施。プロ経験者や地元Bリーガーを志す長崎県出身選手らが参加した。ここで伊藤GMが「技術面より、まずは愛される選手」と人柄重視の選考基準を挙げた点は、多くのバスケットファンの共感を得た。
 今月中旬にはBリーグの島田慎二チェアマンが県庁を訪れ、中村法道知事に支援を要望。ジャパネットが24年の開業を目指して長崎市で計画を進める長崎スタジアムシティの構想に触れて「これだけ大きな規模でリーグ入りするクラブはどこにもない。地域経済への貢献も期待できる」と高く評価した。
 B3の21~22シーズン参入への審査は順調で、来年は早い段階で選手選考が本格化。夏にはチームの体制も整うだろう。春に始まるJリーグのシーズンが「表」なら、秋開幕のBリーグは「裏」。サッカーとバスケットが両輪となり、1年を通してプロスポーツの醍醐味(だいごみ)を味わわせてくれる。そんな長崎の新たなスポーツの形ができあがりつつある。


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