楽天・浅村VS西武バッテリー カモにされていた元主軸から主導権を奪い新局面へ

空振り三振に倒れる楽天・浅村

リーグ3連覇を目指した西武の2020年シーズンは58勝58敗4分け。優勝したソフトバンクに15・5ゲーム差の3位に終わった。

連覇の原動力だった自慢の打線がチーム打率2割3分8厘(リーグ5位)、479得点(同4位)と低迷したこともあり、勝ちパターンが接戦に持ち込んでのブルペン勝負に限られる苦しいシーズンだった。

V奪回に向けた21年シーズンに向けては低迷した打線の復調と変わらぬ先発陣の底上げが課題となるが、そんな中でも投手陣に一定の収穫があった。

そのうちひとつが後半戦、天敵だった楽天・浅村栄斗内野手(29)の封じ込めに成功したことだ。

18年までのチームメートだった元主軸には楽天移籍1年目の19年、打率3割3厘、11本塁打、27打点といいように打ち込まれていた。

昨季も8月までの14試合では打率3割3分3厘、4本塁打、13打点と分が悪かったのだが、9月25~27日の本拠地3連戦で流れがガラリと一変した。

1、2戦目で投手陣が相手打線のキーマン・浅村を7打数無安打、3三振に抑えると27日の3戦目では主戦捕手・森が作ったいい流れを2番手捕手・岡田が引き継ぎ西武バッテリーが浅村から初めて主導権を奪った。

先発・松本を強気のリードで引っ張り、全7球ストレート勝負の空振り三振でスタートすると、続く2打席目は再びストレートで浅村のバットを押し込み、最後はスライダーで空振り三振。3打席目も高めのつり球で三球三振に仕留め握った主導権を手放さなかった。

最後は前日の対戦で浅村を三球三振に斬ったセットアッパー・平良がフルカウントから完璧に裏をかく、ど真ん中のスライダーで見逃し三振斬り。天敵・浅村から西武投手陣が初めて1試合4三振を奪い、この3連戦を3連勝。浅村を11打数無安打7奪三振と封じた。

これで天敵への苦手意識を払拭した西武バッテリーはこの3連戦を含む9月以降10試合の対戦成績を35打数3安打(打率8分6厘)、2本塁打、15奪三振とし、逆に浅村に苦手意識を植え付けた状況で新シーズンを迎えることに成功した。

浅村のFA移籍時に母校・大阪桐蔭の先輩でもある岡田が「元チームメートだからという情はいらない。アサの特徴は外角球を逆方向に長打できること。踏み込ませないためにも厳しく内角をえぐらないとウチがやられてしまう」と言っていた対策が2年の月日をかけてようやく実を結んだ。

この結果を受けて今季はパ・リーグ本塁打王の浅村がどう意識を変えて対応してくるか。その因縁対決の新局面が注目される。

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