25歳男子「金融資産600万、年収450万でもまだ足りない気がする」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、25歳、会社員の男性。すでに金融資産600万円を保有し、年収450万で同世代と比較しても裕福と言える相談者ですが、不安定な世の中でやっていけるか不安だといいます。実際に不足なのでしょうか? FPの三澤恭子氏がお答えします。

お金をどれだけ貯めれば安心できるのでしょうか。いつも不安で夜も眠れません。25歳で金融資産は600万近くあります。周りと比べたら多くあると思います。でも、どれだけお金を貯めてもまだ足りないんじゃないかと不安になります。上を見ればキリがないですし、下を見ればいくらでも安心できると思います。コロナもあり、本当に会社の収入(450万円)だけでやっているかも不安です。

【相談者プロフィール】

・男性、25歳、会社員、未婚(同棲中)

・同居家族について:彼女と同棲しています。同じ会社で働いています。彼女の年収は同じく450万円で、資産は150万円ぐらいです。

・住居の形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:40万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:160万円

・毎月の世帯の支出の目安:15万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:6万円

・食費:3万円

・水道光熱費:1万円

・教育費:1万円

・保険料:5,000円

・通信費:1万円

・その他:2万5,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:10万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:30万円

・現在の貯蓄総額:330万円

・現在の投資総額:270万円

・現在の負債総額:0円


三澤:ご相談ありがとうございます。ファイナンシャルプランナーの三澤恭子です。どれだけお金を貯めても安心できない。夜も眠れないほど不安だとなると健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。漠然とした不安の正体は何なのか、どうしたら安心して生活を送れるのか一緒に考えていきましょう。

不安は、その正体が何であるのか「わからない」ことが原因

すでに金融資産が600万円あるという相談者様は、それでも不安で眠れない夜があるとのことですが、何が怖いのでしょう。

例えば、コロナの影響で仕事がなくなる収入が減る→家賃が払えず生活ができない→どうしよう不安だ。ということなのでしょうか。相談者様が抱えている不安の正体が何であるのか具体的な内容がわかれば対策がとれます。貯蓄が解決策になるのかもしれません。しかし、「なぜ、そんなにお金を貯めたいのか」、具体的な答えが出ないままでは貯蓄そのものが人生の目的になってしまい、どんなに貯めたとしても不安は解消されないでしょう。「そのお金を使って何をしたいのか」という目的をもつことで不安心理から解放されると思います。

みんなの資産はいったいどれほどなのか?

不安が強すぎると自分が今、手にしているものを見落としてしまいます。まずは、今あるもの、できていることを2つのデータを参考に検証してみましょう。

相談者様の600万円近い金融資産は、同年代をはるかに超え単身世帯の平均値とほぼ同じ金額となっています。相談者様の1年間に必要な生活費を180万円とした場合、3年分はまかなえる貯蓄額となっています。たとえ収入が無くなったとしても、すぐに路頭に迷うことはなさそうです。

同世代はどれくらいもらっているのか?

また「年収450万円だけでやっていけるのかも不安」とのことですので同年代の平均的な給与も見てみましょう。

上を見ればキリがないかもしれませんが、現職は男性の平均給与を上回る水準にあります。

「足るを知る」ことで不安は和らぐ

では、現状の収支を確認していきましょう。

世帯の手取り収入はボーナスともに同棲中の彼女と半分ずつとして計算します。相談者様の手取り月収は20万円、年間ボーナスは80万円となります。支出のうち住居費、食費、水道光熱費の10万円を彼女と折半していると考えると、相談者様自身の1カ月の支出は10万円となり、年間貯蓄額は毎月の10万円とボーナスを合わせた150万円となります。このままの収支が続けば金融資産の総額は3年ほどで1000万円を超えます。

相談者様には2つのデータを参考に、今あるもの、できていることに目を向け、現状でも十分にやっていけることを認識してほしいと思います。

次にすべきことはライフプランです。「自分はどんな人生を送りたいのか」そのためには「いつまでにいくらあればいいのか」といったお金の見通しを立てることです。

ライフプランを立て、貯蓄の目的を「見える化」する

相談者様の今後の人生にはどんな事がありそうですか? あるいは何をしたいですか?

まずはイベントを大まかにノートに書き出していきましょう。例えば、20代後半は同棲から結婚、そして30代でマイホームの購入や子どもが生まれたらその後の教育費の準備もありますね。ご自身の趣味のお金やキャリアアップへの資格取得の資金が必要かもしれません。病気への備えや老後資金の準備もありますよね。

次に、イベントにかかる金額とその貯め方を考えます。まず、今ある貯蓄のうち生活費の3~6カ月分(相談者様は心配性なので1年分にあたる200万円ほど)を「いざという時のために使う」という目的で別口座に移します。その上でイベントを実現するために残りの貯蓄を含め、どのように貯めていくか計画します。

例えば、3年後に結婚資金200万円、5年後にマイホーム購入の頭金300万円を準備したいとプランニングしたのなら、結婚資金には今ある貯蓄から100万円と毎月の貯蓄から3万円、マイホームの頭金には毎月5万円をそれぞれ積立てていこうなどと考えていきます。

書き出したイベントとそれにかかる金額の予測ができれば、やみくもに「もっと貯めなくては」といった不安は軽減されるはずです。

漠然とした不安の正体を明らかにすることで気持ちに余裕が生まれ、今の生活を楽しむことにもお金を使うことができるようになっていくでしょう。思考をチェンジして人生を豊かなものにしてください。

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