「医療崩壊 始まっている」 長崎医療圏4病院長、非常事態で声明 コロナ診療で一般400床縮小

 新型コロナウイルス感染症が急拡大し、救急患者の受け入れや入院、手術の延期など、通常の医療に影響が出ているとして、長崎大学病院など長崎市内の4病院長が7日、長崎医療圏(長崎市、西海市、西彼長与町、時津町)の医療の非常事態を訴える緊急声明を出した。医療崩壊が始まっているなどと危機的状況を強調し、感染防御対策への協力を市民らに求めた。全文は次の通り。

 新型コロナウイルス感染症の第3波による感染拡大が止まらず、感染症治療のみならず、感染症治療以外の医療が甚大な影響を受けています。すでに長崎市内の医療機関においても救急患者の受け入れに支障が出ており、予定の入院や手術の延期が余儀なくされています。すなわち、医療全体が崩壊しかねない非常事態を迎えています。

 1.新型コロナウイルス感染症の診療のため縮小している一般病床について

 重症を含む新型コロナウイルス感染者の急増を受け、コロナ診療を担当している長崎市内の4病院(長崎大学病院、長崎みなとメディカルセンター、長崎原爆病院、済生会長崎病院)で約400床の一般病床を縮小し、看護師、医師のマンパワーをコロナ診療に注力しています。この数は、一つの病院の病床を使用できない状況に相当します。
 このことから、重症、緊急など命に関わる疾患を優先的に治療し、治療を待機できる場合は、入院の延期をお願いする事態も起こっています。

 2.救急医療体制について

 長崎市内の2次救急医療を担う20医療機関のうち、三つの病院で院内感染が発生していることから、現在残りの医療機関で連携し、2次救急医療を支えています。しかし、そのうちコロナ診療も担う長崎みなとメディカルセンター、長崎原爆病院、済生会長崎病院の三つの病院では、上述の通り、一般病床数を縮小しているため、救急入院の受け入れが厳しい状況に陥っています。また、これに伴い、他の救急協力医療機関でも満床に近い状況になっています。このままの感染拡大が続くと、救急受け入れができなくなり、脳卒中・心臓病などの救急医療が停止するような危機的状況になることも想定されます。

 3.市民の皆さまへ

 上記の通り、長崎医療圏では今まさに医療崩壊が始まっています。3密回避、マスク着用、手指消毒などの感染防御対策はもちろんですが、不要不急の外出・会食を可能な限り自粛いただき、感染の機会を減らしていただくよう、お願いいたします。皆さまの慎重な行動が、長崎医療圏の医療体制の維持につながり、救わなければならない命を救うことにもなります。何とぞご協力よろしくお願いいたします。

 長崎大学病院 病院長 中尾 一彦
 長崎みなとメディカルセンター 院長 門田 淳一
 日本赤十字社 長崎原爆病院 院長 谷口 英樹
 済生会長崎病院 院長 衛藤 正雄


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